怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

「いらっしゃいませ」 笑顔で案内して、空いた席へ通す。

それを何度か繰り返したころ、男子のグループが入ってきた。 見たことのない顔。 たぶん他校の生徒だ。

「何名さまですか」 そう聞くと、先頭にいた男子がわたしを見てにやっとした。

「四人。てか、めっちゃかわいくない?」 「ほんとだ」 「この子がいい」

軽い調子の言葉に、胸の奥が少しひやっとする。

接客だから笑顔は崩せない。 でも、視線がやけに遠慮なくて、少しだけ居心地が悪かった。

「こちらの席へどうぞ」 できるだけ早く案内しようとした、そのとき。

「おい」 低い声が横から落ちた。

振り向くまでもない。 神崎くんだ。

厨房担当のはずなのに、いつの間にかすぐ近くに立っている。 目つきは笑っていない。

「注文決まったら呼べ」 それだけ言って、神崎くんは男子たちのテーブルに水を置いた。

置いたというより、少し強めに置いた。

グラスが小さく鳴る。