怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

「神崎くん」 「ん」 「今みんな、近くにいる……」 「知ってる」 「知ってて言うの?」 「聞こえてねぇだろ」 「わたしには十分すぎるくらい聞こえてるよ……」

小声で言うと、神崎くんは少しだけ口元をゆるめた。

「ならいい」

その一言だけで、また胸がうるさくなる。

文化祭当日までの数日間、準備は思った以上に忙しかった。

机を下げて客席を作って、メニュー表を書いて、壁に装飾を貼って。 接客係のわたしたちは、注文の受け方や案内の仕方も簡単に練習した。

けれど、そのたびに神崎くんの視線が気になる。