怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

近くで見ると、やっぱりこわい。 というより、迫力がすごい。 目つきが鋭くて、表情もほとんど動かない。

私はあわてて席を引いた。

「ご、ごめんなさい……!」

神崎くんは何も言わず、私の隣に座った。 机に片腕を乗せて、外を見る横顔は、話しかけるなと言っているみたいだった。

……終わった。 私の高校生活、静かに終わった気がする。

そんな最悪な始まりだった。

だけど、その日の放課後。 私は、誰にも言えない失敗をした。

帰り道、校門を出てすぐの坂道で、私は足を止めた。

鞄の中に入れていたはずの財布がない。

青ざめながら中身をひっくり返しても、ノートも筆箱も入っているのに、財布だけが見当たらない。

「どうしよう……」

今日に限って、家の鍵まで財布に入れていた。 両親は仕事で帰りが遅い。 連絡しようにもスマホの充電は切れかけで、残り一パーセント。