怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

「あれ、神崎ならさっき呼ばれてったぞ」 クラスメイトの男の子が教えてくれた。

「呼ばれて……?」 「校舎裏。なんか三年の先輩」

嫌な予感がした。

神崎くんはケンカの噂が絶えない。 本人は自分から何かするタイプじゃないのに、向こうから絡まれることが多いらしい。

わたしは気づけば走っていた。

校舎裏に着くと、数人の男子生徒が立っていた。 でも空気は張りつめていなくて、むしろ変にざわついている。

その中心にいたのは、神崎くんだった。

そして、彼の前には女の先輩。

長い髪を巻いたきれいな人が、少し距離を詰めるようにして立っている。

わたしはとっさに物陰に隠れた。

盗み聞きなんてしたくない。 でも、足が動かなかった。

「だから、あたし前から言ってるじゃん」 先輩が甘えるような声で言う。

「今さら無理」 神崎くんの声は冷たい。

「でも、彼女いるってほんと?」 「ほんとだけど」 「えー、似合わない。あんた、そういうの興味ないと思ってた」 「興味なくはねぇよ」 「どうせすぐ別れるでしょ」 「別れねぇ」

即答だった。