怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

朝は私の下駄箱に、当たり前みたいに紙パックのジュースが入っている。 昼休みは必ず迎えに来る。 移動教室も、階段ではさりげなく私の後ろを歩く。

そして放課後は、毎日一緒に帰る。

「神崎くん、近い」 「近くねぇと守れねぇ」 「そんな危ないこと毎日起きないよ」 「起こる前に守る」

真顔で言われてしまって、私は何も言えなくなる。

しかも困ったことに、神崎くんは私が照れるのを楽しんでいる節がある。

ある日、教室でふたりきりになったときもそうだった。

私は鞄にノートをしまっていた。 その横で、神崎くんはじっと私を見ている。

「……なに?」 「いや」 「絶対なんかあるでしょ」 「今日もかわいいなと思って」 「っ、もう!」

思わず彼の腕を軽く叩くと、神崎くんは低く笑った。

「照れてんのもかわいい」 「神崎くん!」 「なに」 「そういうの反則」 「好きな子褒めて何が悪い」

勝てるわけがない。

私は顔を隠すように鞄を抱えた。 すると神崎くんが、その上からそっと私の手に触れる。

大きくて、あたたかい手。