この放課後はきっと、一生忘れない 【短編】

「なんで逃げるの」

 「だって……」

 言えない。
 好きだからなんて、絶対に。

 うつむく私に、彼は少し黙ってから言った。

 「俺、お前には逃げてほしくない」

 その言葉だけで、胸がいっぱいになった。

 「それって、どういう意味……?」

 震える声で聞くと、朝倉くんは珍しく少しだけ焦った顔をした。

 「そのままの意味」

 「わかんないよ」

 「じゃあ、ちゃんと言う」

 彼はまっすぐ私を見た。

 「俺は、お前といると楽しい」

 「……うん」

 「放っておけないし、他のやつと話してるとなんか嫌だし」

 そこで一度言葉を切って、耳まで赤くしながら続けた。

 「たぶん、好き」

 たぶんじゃないくせに。
 そう思ったら、涙が出そうなくらいうれしくて、でも笑ってしまった。

 「なにその告白」

 「悪いかよ」

 「ちょっとだけ」

 「じゃあ言い直す」

 彼は私の手を、今度は少しだけ強く握った。

彼は私の手を、今度は少しだけ強く握った。

 「好きだよ」