転生悪役令嬢が名探偵ですわ!?

 ――翌朝

 旧図書塔。

 朝日が、古びた窓から差し込んでいる。

 アリアは窓辺に立っていた。

 外を見つめたまま、じっと誰かを待っている。

「…………」

 ここへ来ることは分かっている。

 犯人は必ず来る。

 自分が「最後の証拠を見つけた」と聞けば。

 ――必ず。

 カチャ。

「…………!」

 扉の鍵が回った。

 アリアはゆっくり振り返る。

 古びた扉が、軋みながら開いていく。

 廊下から差し込む光。

 その向こうに立っていたのは――

「…………」

 見慣れた顔。

「カイル……」

 カイルは何も言わず、部屋へ入ってくる。

 そして静かに扉を閉めた。

 カチャリ。

 鍵がかかる音が、やけに大きく響いた。

「どうしてここに?」

 カイルが尋ねる。

探したんだよ。と

 いつもの穏やかな声。

 いつもの優しい笑顔。

 けれど。

 アリアはもう、その笑顔を信じていなかった。

 一歩。

 カイルが近づく。

「何か見つけたの?」

「ええ」

 アリアは答えた。

「最後の証拠を」

 カイルの足が止まった。

「……そう」

 ほんの一瞬。

 その瞳から、笑みが消えた。

 アリアはそれを見逃さなかった。

「では――」

 アリアは静かに言う。

「答え合わせをいたしましょうか」