その夜。
旧図書塔。
誰もいないはずの部屋に、一人の人影が入った。
月明かりの中。
その人物は床にしゃがみ込み。
血痕の残る場所を見つめる。
そして。
床の隅から、小さな何かを拾い上げた。
「…………」
指先にあるのは。
細い透明な糸。
その人物は、それを握り潰す。
――パチン。
小さな音。
そして。
「……まだ見つからない」
低い声が、誰もいない部屋に響いた。
その人物は何事もなかったように立ち上がると。
月明かりの届かない闇の中へ消えていった。
残された部屋には。
ただ一つ。
赤い薔薇の香りだけが残っていた。
旧図書塔。
誰もいないはずの部屋に、一人の人影が入った。
月明かりの中。
その人物は床にしゃがみ込み。
血痕の残る場所を見つめる。
そして。
床の隅から、小さな何かを拾い上げた。
「…………」
指先にあるのは。
細い透明な糸。
その人物は、それを握り潰す。
――パチン。
小さな音。
そして。
「……まだ見つからない」
低い声が、誰もいない部屋に響いた。
その人物は何事もなかったように立ち上がると。
月明かりの届かない闇の中へ消えていった。
残された部屋には。
ただ一つ。
赤い薔薇の香りだけが残っていた。

