【偽】カップルですが、本当の恋を教えてください

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「お客さんは?」
「10人ちょい・・・ってとこかな」
そして13日。今日が初めての本番だ。
3日前にオリジナル曲が完成して、必死に練習して。
初めてのライブで10人は・・・期待してもいいのかな。
「集合」
本番直前、リーダーの掛け声で全員が集まり、自然と手の甲を出す。
「まだこういうの決めてないけど・・・」
こういうの、とは本番前にやる掛け声のことだろう。
たしかに、いろんなアーティストさんたちはそれぞれ、肩を組んだりポーズをしたりしてる。
Echolyのポーズ・・・?だめだ、緊張して頭が回らない。
「ピースして・・・こうとか?」
「4人だから星にはならないよ」
「別にいいじゃん」
結局全員がガチガチなので、そのままピースを突き合せる形になった。
あと1人いれば星になるのに・・・残念感がぬぐえない。
・・・あれ、いまさらだけど・・・ベースって要らない、のか?
「このあとどーすんの」
無言でピースを突き合せるのに耐えられず緋雁が口をはさむと、珀が迷ったように口を開いた。
「え・・・っと。・・・もう!どうも僕たちは、」
「Echolyです!」
「「・・・」」
投げやりに放たれた珀の言葉に、反射で練習した台詞を返すと、緋雁と葛がなんともいえない表情で見てくる。
な、なに・・・なんで2人は言わないの・・・!
「桃祢はいい子だな」
なぜか珀まで感動したように言ってくるので、なにがしたいんだと心の中で呟いた。
「純粋な桃祢に敬意を表して、これでいこう」
「はいはい」
な、なんだか惨めな気分だ・・・。
私は別に、間違ったことはしてないはずなのに。
「手ぇ出して。どうも僕たちは、」

「「「「Echolyです」」」」


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既存曲4曲とオリジナル曲1曲。
既存曲は有名な曲ばかりを選んだからか、手拍子やコールをしてくれる人もいた。
オリジナル曲は始まった時はシンとなったけど、最後にはたくさん拍手をくれた。
これは・・・手ごたえを感じてもいいのかな。
「おっつかれ~」
「初めてにしては上手くいったんじゃない?」
3人とも満足いったのか、息をつきながら楽器を片付けている。
それぞれギターやキーボードを背負い、スティックのみの葛はアンプも持ってくれた。
いつになく笑顔でライブハウスを出ると。

「やぁ、桃祢さん。元気そうだね」
「早見先生・・・⁉お久しぶりです!」
出口に、スーツを着たおじさまが。
思わず驚くと、おじさまはにこやかに近づいてくる。
「桃祢、知り合い?」
「うん!有名なピアニストの早見先生だよ。何回かコンクールでも審査員をされててね、一時期はレッスンもしてもらってたんだ」
早見先生。日本でもっとも有名な天才ピアニスト。
海外のオーケストラでも活躍する凄い人で、私の元先生だ。
まさか再会するなんて・・・もしかしてライブハウスに居た⁉
「いい演奏だったよ。腕も全く落ちていないじゃないか」
「ありがとうございます!先生はなんでここに・・・?」
もし偶然なら、ものすごい奇跡だ・・・!
そう思ってきくと、早見先生は不思議そうな顔で笑った。
「ん?『神童と呼ばれた天才少女がキーボディストになってバンドを組んだ』って噂がね。もう音楽界は大騒ぎだよ」
え・・・そんなに噂になってるの?
音楽界とは関わらなくなってもう数年たつのに・・・。
「次のライブはいつかな。きっと満員だよ。あ、SNSで紹介していいかい?」
「ぜひお願いします!あの・・・俺たちもSNSやってるんで、日程は・・・」
「じゃあURLも貼らせてもらおうかな。今日は楽しかった。応援してるよ」
颯爽と去って行く先生を見送り、4人で顔を見合わせる。