【偽】カップルですが、本当の恋を教えてください

「桃祢・・・その、過去のことは・・・話してくれたけど」
「あ、えっと・・・ううん、みんなと出逢えたから、辛かったことも受け入れられた!」
チャットで話したことを気にしてくれる緋雁。
もしもあの辛い過去が、Echolyと出会うための試練だったなら、神様だって許せる。
こんなにも素敵な人たちと出逢えたんだから。
「そっか、」
「テーブルもらってきたぞぅ」
少し気遣わし気な緋雁が小さく頷くと、ギリギリ扉に通りそうなテーブルが、スタジオに入ってきた。
タイヤがついていて、うしろからテーブルを押す葛が現れる。
「ありがとう」
紳士な葛は椅子も4つ持ってきていて、運ぶのを手伝ってくれたと思われるスタッフさんの背中も見えた。
全員で椅子を廊下から持ってきて、4人で机を囲む。
「まず桃祢。入ってくれてありがとう。追加で申し訳ないんだけど、ボーカルって出来たりする?」
「・・・ぼ、ボーカル?」
ボーカルって歌だよね?それは緋雁だって・・・。
「デュエットボーカルをやりたいなって思ってて。キーボード&ボーカル」
「なるほど・・・?あの、歌は大好き、ではあるよ」
大好きと上手は結構違うけど・・・。
「じゃあぜひやってほしいかな。弾きながら歌える?」
「あ、それは大丈夫!」
合唱コンクールの伴奏とかも一応やってたからね!
「頼もしいな、あと・・・今は既存曲ばっかやってるけど、いつかはオリジナルもやりたいなって。作曲とかやったことある?」
「やったことはない・・・けど、やりたい!新しいこと、いっぱい挑戦してみたい!」
作曲の仕方とかは分からないけど・・・ピアノの経験は活かせるかも。
せっかくのチャンスだし、新しいことにたくさん挑戦するべきだろう。
「じゃあやってみよう。えっと・・・あぁ、これからの話ね。まずはライブハウスとSNSで名前を広める。そしたらきっと音楽会社の人が見に来るから、その会社でCDデビュー、メジャーデビュー。目標は国民的バンド」
国民的バンド・・・。
それって、流せばだれでも歌えるようなバンド、ってことだよね?
たしかに3人の実力は高いし、それに私がついていけるかが問題だなぁ。
「まぁ、細かいことは多分、会社が決めるから。また不安なコトあったら連絡すること。解散!」
「はーい」
緋雁の指示で全員が一斉に片付けをはじめ、私も楽譜を仕舞ってテーブルと椅子を片付けるのを手伝う。
「気を付けて帰って」
「はーいママ」
「ママじゃない」
まずでお母さんみたいなことを言うので、珀を‟ママ”と呼んでみると、すぐにツッコミが返ってきた。

あ・・・お母さんとも話さないとなぁ。
やりたいこと見つかったよって。今までごめんねって。
私にピアノをやらせてくれてありがとうって。