「ママー!6時だよ!」
「もうそんな時間?ドキドキするわねぇ」
無邪気に飛び跳ね、お母さんからスマホをもらう女の子。
慣れた手つきでページを開き、両親が見守るなかで・・・。
「あった!金賞だよ!」
「あら!すごいじゃない!」
「さすがだな!いっぱい練習してたもんな」
見事『金賞』の横に自分の名前を見つけ、やったぁ嬉しい!と笑う。
両親も祖父母も先生も、たくさん褒めてくれて、幸せで・・・。
そんな‟出来た幸せ”は、砂の城のように舞い、消えてゆくのだ。
♡───────────────────────♡
「桃祢・・・先生からお話、聞いたわよ」
私・市姫桃祢は、輝かしいピアノ人生に終幕を告げた絶望の谷を、右も左も分からないまま彷徨っていた。
コンクールで金賞最優秀賞を総なめしていたのも昔の話。
すっかり落ちぶれた私は音楽高校ピアノ専攻に入学したものの、学校にもクラスにもうまく馴染めていなかった。
「もうコンクールにも出ていないんだし・・・一度ピアノから離れてみたら・・・?」
「・・・え・・・?」
お母さんはきっと、私を心配してそう言っているだけだ。そのはず。きっとそのはず・・・。
・・・ううん、ピアノから離れる?じゃあ、私の存在意義はどうなっちゃうの?
ピアノがない私なんて、生きる価値がないのに・・・!
「私・・・もう用無しなんだ・・・っ!」
「あっ・・・待って!そういう意味じゃな、」
混乱していた。頭が真っ白になった。
お母さんは私の気持ち、わかってくれると思ってた・・・!
♡───────────────────────♡
それから私は部屋に閉じこもり、学校にも行かなくなった。
平日5時間、休日10時間のピアノの練習も、毎日1時間に減った。
いつしか誰とも顔を合わせたくなくなって、生活が昼夜逆転して。
ご飯も食べなくなって高校も2年の9月で中退。
そんなある日、絵にかいたような堕落生活を送る私のもとへ、1件のDMが届いた。
『一緒に音楽やりませんか
12月1日 〇×ビルのAスタジオで待っています』
・・・音楽?の誘い?
どう考えても怪しいけど・・・この日予定ないし、このビル近いし・・・。
なにより、音楽を諦めきれていない自分がいるのも、事実だ。
・・・もしかしたら運命なのかもしれない。人生が変わるかもしれない。
行ってみよう・・・かな。
「もうそんな時間?ドキドキするわねぇ」
無邪気に飛び跳ね、お母さんからスマホをもらう女の子。
慣れた手つきでページを開き、両親が見守るなかで・・・。
「あった!金賞だよ!」
「あら!すごいじゃない!」
「さすがだな!いっぱい練習してたもんな」
見事『金賞』の横に自分の名前を見つけ、やったぁ嬉しい!と笑う。
両親も祖父母も先生も、たくさん褒めてくれて、幸せで・・・。
そんな‟出来た幸せ”は、砂の城のように舞い、消えてゆくのだ。
♡───────────────────────♡
「桃祢・・・先生からお話、聞いたわよ」
私・市姫桃祢は、輝かしいピアノ人生に終幕を告げた絶望の谷を、右も左も分からないまま彷徨っていた。
コンクールで金賞最優秀賞を総なめしていたのも昔の話。
すっかり落ちぶれた私は音楽高校ピアノ専攻に入学したものの、学校にもクラスにもうまく馴染めていなかった。
「もうコンクールにも出ていないんだし・・・一度ピアノから離れてみたら・・・?」
「・・・え・・・?」
お母さんはきっと、私を心配してそう言っているだけだ。そのはず。きっとそのはず・・・。
・・・ううん、ピアノから離れる?じゃあ、私の存在意義はどうなっちゃうの?
ピアノがない私なんて、生きる価値がないのに・・・!
「私・・・もう用無しなんだ・・・っ!」
「あっ・・・待って!そういう意味じゃな、」
混乱していた。頭が真っ白になった。
お母さんは私の気持ち、わかってくれると思ってた・・・!
♡───────────────────────♡
それから私は部屋に閉じこもり、学校にも行かなくなった。
平日5時間、休日10時間のピアノの練習も、毎日1時間に減った。
いつしか誰とも顔を合わせたくなくなって、生活が昼夜逆転して。
ご飯も食べなくなって高校も2年の9月で中退。
そんなある日、絵にかいたような堕落生活を送る私のもとへ、1件のDMが届いた。
『一緒に音楽やりませんか
12月1日 〇×ビルのAスタジオで待っています』
・・・音楽?の誘い?
どう考えても怪しいけど・・・この日予定ないし、このビル近いし・・・。
なにより、音楽を諦めきれていない自分がいるのも、事実だ。
・・・もしかしたら運命なのかもしれない。人生が変わるかもしれない。
行ってみよう・・・かな。

