翌日の夕方。
雪は遥斗を、鎌倉の海へ連れてきた。
夕暮れの砂浜には、波の音だけが静かに響いている。
二人は並んで砂浜を歩いた。
雪が裸足になって波打ち際へ行くと、冷たい海水が足元を撫でる。
「気持ちいいね」
「うん」
遥斗は、少し緊張した表情で雪を見つめていた。
「雪」
「ん?」
「話したいことがある」
「どうしたの?」
遥斗は一度、海へ視線を向けた。
そして、雪にまっすぐ向き直る。
「あと二年、待ってほしい」
「……二年?」
「ああ」
雪は黙って遥斗を見る。
「仕事をちゃんと頑張って、俺が雪を迎えに行く」
遥斗の声は、静かだけれど強かった。
「そのときは、一緒に別府に帰ろう」
雪の瞳が揺れる。
「別府に……?」
「うん」
遥斗は頷いた。
「俺、雪と一緒に人生を歩みたい」
波が二人の足元まで寄せては、静かに戻っていく。
「雪と笑って、泣いて、いろんなことを一緒に乗り越えて……ずっと隣にいたい」
雪の目に涙が浮かんだ。
「遥斗……」
「それで」
遥斗は少し照れながら続けた。
「朝見神社で、結婚式をしよう」
「……!」
雪の頬を涙が伝った。
「別府の八幡朝見神社?」
「ああ」
遥斗は笑う。
「前に約束しただろ。一緒に行こうって」
「うん……」
「今度は、ただ一緒に行くだけじゃない」
遥斗は雪の手をそっと握った。
「夫婦になって、二人で歩きたい」
雪は涙を拭きながら笑った。
「……嬉しい」
「それから、朝見神社の参道にある夫婦杉も一緒に見よう」
雪は頷く。
「夫婦がずっと幸せでいられるっていう、言い伝えがあるんよね」
「ああ」
遥斗は優しく笑った。
「俺たちも、あの木みたいになろう」
「ずっと一緒?」
「ずっと」
雪は遥斗の手を強く握り返した。
「約束やけんね」
「約束」
二人は海を見つめた。
遠くへ沈んでいく夕日。
波の音。
繋いだ手。
そして、二年後の未来。
五年前に交わした「待っていて」という約束は、いつしか――
「一緒に別府へ帰ろう」という、新しい約束へ変わっていた。
雪は、遥斗の肩にそっと寄り添った。
「私、二年待つよ」
「ありがとう」
「だって……私も、遥斗と一緒の人生を歩みたいけん」
遥斗は笑った。
夕暮れの海辺で、二人はもう一度、未来を約束した。
雪は遥斗を、鎌倉の海へ連れてきた。
夕暮れの砂浜には、波の音だけが静かに響いている。
二人は並んで砂浜を歩いた。
雪が裸足になって波打ち際へ行くと、冷たい海水が足元を撫でる。
「気持ちいいね」
「うん」
遥斗は、少し緊張した表情で雪を見つめていた。
「雪」
「ん?」
「話したいことがある」
「どうしたの?」
遥斗は一度、海へ視線を向けた。
そして、雪にまっすぐ向き直る。
「あと二年、待ってほしい」
「……二年?」
「ああ」
雪は黙って遥斗を見る。
「仕事をちゃんと頑張って、俺が雪を迎えに行く」
遥斗の声は、静かだけれど強かった。
「そのときは、一緒に別府に帰ろう」
雪の瞳が揺れる。
「別府に……?」
「うん」
遥斗は頷いた。
「俺、雪と一緒に人生を歩みたい」
波が二人の足元まで寄せては、静かに戻っていく。
「雪と笑って、泣いて、いろんなことを一緒に乗り越えて……ずっと隣にいたい」
雪の目に涙が浮かんだ。
「遥斗……」
「それで」
遥斗は少し照れながら続けた。
「朝見神社で、結婚式をしよう」
「……!」
雪の頬を涙が伝った。
「別府の八幡朝見神社?」
「ああ」
遥斗は笑う。
「前に約束しただろ。一緒に行こうって」
「うん……」
「今度は、ただ一緒に行くだけじゃない」
遥斗は雪の手をそっと握った。
「夫婦になって、二人で歩きたい」
雪は涙を拭きながら笑った。
「……嬉しい」
「それから、朝見神社の参道にある夫婦杉も一緒に見よう」
雪は頷く。
「夫婦がずっと幸せでいられるっていう、言い伝えがあるんよね」
「ああ」
遥斗は優しく笑った。
「俺たちも、あの木みたいになろう」
「ずっと一緒?」
「ずっと」
雪は遥斗の手を強く握り返した。
「約束やけんね」
「約束」
二人は海を見つめた。
遠くへ沈んでいく夕日。
波の音。
繋いだ手。
そして、二年後の未来。
五年前に交わした「待っていて」という約束は、いつしか――
「一緒に別府へ帰ろう」という、新しい約束へ変わっていた。
雪は、遥斗の肩にそっと寄り添った。
「私、二年待つよ」
「ありがとう」
「だって……私も、遥斗と一緒の人生を歩みたいけん」
遥斗は笑った。
夕暮れの海辺で、二人はもう一度、未来を約束した。

