夕方。
少しずつ空が茜色に染まり始めた頃、雪は遥斗を連れて家を出た。
「遥斗、行きたいところがあるんよ」
「どこ?」
「鶴岡八幡宮」
二人は鎌倉の街を並んで歩いた。
やがて、大きな鳥居が見えてくる。
雪は嬉しそうに遥斗を振り返った。
「ここ。私、好きなんだよ」
「鶴岡八幡宮?」
「うん」
二人は境内へ入っていく。
長い参道を歩きながら、雪は周りの景色を眺めていた。
「源頼朝とかが縁のある場所なんよ」
「雪、歴史好きだったっけ?」
「詳しいわけじゃないけど、こういう歴史が残ってる場所って好き」
遥斗は雪の横顔を見ながら笑った。
「なんか雪らしいな」
「どういう意味?」
「大切に残ってきたものを、ちゃんと大切にするところ」
「……そうかな」
雪は少し照れた。
境内を歩きながら、二人はゆっくりと話をした。
鎌倉での生活。
雪が好きな場所。
そして、別府のこと。
すると雪が、ふと立ち止まった。
「でもね……」
「ん?」
「本当は、別府の八幡朝見神社にも行きたいんよ」
「八幡朝見神社?」
「うん」
雪は懐かしそうに笑った。
「別府にある神社。私、あそこも好きなんだよ」
「じゃあ、行けばいいじゃん」
「それが……」
雪は少し困ったように笑う。
「鎌倉からだと遠いやろ?」
「ああ……確かに」
「だから、なかなか行けなくて」
遥斗は少し考えてから、雪を見る。
「じゃあ、今度一緒に行こう」
「え?」
「別府に帰ったときに、俺が連れて行く」
雪の表情が明るくなる。
「……本当に?」
「ああ」
「遥斗と一緒に?」
「うん」
雪は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、約束やけんね」
「約束」
二人は笑い合った。
鎌倉の鶴岡八幡宮。
そして、遠く離れた別府の八幡朝見神社。
今は別々の場所にあるけれど――。
雪にとっては、どちらも大切な場所だった。
夕暮れの境内を歩きながら、雪はふと思う。
鎌倉で過ごした五年間も。
別府で過ごした時間も。
そして、遥斗と再び出会えた今日も。
全部、今の自分につながっている。
「遥斗」
「ん?」
「来てくれて、ありがとう」
「俺のほうこそ」
遥斗は雪の隣を歩く。
「待っててくれて、ありがとう」
雪は少し照れながら笑った。
「ずっと待っちょったけん」
夕焼けに照らされた二人の影が、参道の先へ長く伸びていた。
少しずつ空が茜色に染まり始めた頃、雪は遥斗を連れて家を出た。
「遥斗、行きたいところがあるんよ」
「どこ?」
「鶴岡八幡宮」
二人は鎌倉の街を並んで歩いた。
やがて、大きな鳥居が見えてくる。
雪は嬉しそうに遥斗を振り返った。
「ここ。私、好きなんだよ」
「鶴岡八幡宮?」
「うん」
二人は境内へ入っていく。
長い参道を歩きながら、雪は周りの景色を眺めていた。
「源頼朝とかが縁のある場所なんよ」
「雪、歴史好きだったっけ?」
「詳しいわけじゃないけど、こういう歴史が残ってる場所って好き」
遥斗は雪の横顔を見ながら笑った。
「なんか雪らしいな」
「どういう意味?」
「大切に残ってきたものを、ちゃんと大切にするところ」
「……そうかな」
雪は少し照れた。
境内を歩きながら、二人はゆっくりと話をした。
鎌倉での生活。
雪が好きな場所。
そして、別府のこと。
すると雪が、ふと立ち止まった。
「でもね……」
「ん?」
「本当は、別府の八幡朝見神社にも行きたいんよ」
「八幡朝見神社?」
「うん」
雪は懐かしそうに笑った。
「別府にある神社。私、あそこも好きなんだよ」
「じゃあ、行けばいいじゃん」
「それが……」
雪は少し困ったように笑う。
「鎌倉からだと遠いやろ?」
「ああ……確かに」
「だから、なかなか行けなくて」
遥斗は少し考えてから、雪を見る。
「じゃあ、今度一緒に行こう」
「え?」
「別府に帰ったときに、俺が連れて行く」
雪の表情が明るくなる。
「……本当に?」
「ああ」
「遥斗と一緒に?」
「うん」
雪は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、約束やけんね」
「約束」
二人は笑い合った。
鎌倉の鶴岡八幡宮。
そして、遠く離れた別府の八幡朝見神社。
今は別々の場所にあるけれど――。
雪にとっては、どちらも大切な場所だった。
夕暮れの境内を歩きながら、雪はふと思う。
鎌倉で過ごした五年間も。
別府で過ごした時間も。
そして、遥斗と再び出会えた今日も。
全部、今の自分につながっている。
「遥斗」
「ん?」
「来てくれて、ありがとう」
「俺のほうこそ」
遥斗は雪の隣を歩く。
「待っててくれて、ありがとう」
雪は少し照れながら笑った。
「ずっと待っちょったけん」
夕焼けに照らされた二人の影が、参道の先へ長く伸びていた。

