月日は流れ、雪のお腹は日に日に大きくなっていった。
そして、ついに臨月を迎えた。
遥斗は相変わらず、雪のことを心配していた。
「雪、無理してない?」
「大丈夫だよ」
「疲れたらすぐ休んで」
「分かってるって」
二人で笑い合いながら、赤ちゃんが生まれてくる日を楽しみに待っていた。
病院バッグも、雪が早くから準備していた。
「これで大丈夫」
バッグの中には、必要なものがきちんと入っている。
遥斗は何度も確認していた。
「本当に準備できてる?」
「うん。遥斗より私のほうが準備できてるよ」
「……確かに」
二人で笑った。
そして――。
その日は突然やってきた。
夜。
雪が立ち上がった瞬間、表情が変わった。
「……遥斗」
「どうした?」
「破水した」
「えっ!?」
遥斗の顔が一瞬で青ざめた。
「どうしよう……!」
慌てて立ち上がる。
けれど、何をすればいいのか分からない。
「病院バッグ……車……いや、病院に連絡……」
「遥斗、落ち着いて」
雪は冷静だった。
「病院バッグは準備してあるから、それを持ってきて」
「分かった!」
遥斗は急いでバッグを取りに行った。
「これだよね?」
「うん」
「他に必要なものは?」
「水分取りたいから、お水かお茶を準備して」
「分かった!」
遥斗は急いで水とお茶を用意する。
そのとき――。
「……っ」
雪が顔をしかめた。
「雪?」
「陣痛きた……」
「もう?」
「遥斗、病院に連絡して」
「分かった!」
遥斗は急いで病院へ電話をかけた。
「もしもし! 妻が破水して、陣痛も始まっていて……」
病院からいくつか確認され、遥斗は雪の状態を伝える。
「はい……はい。分かりました」
電話を切る。
「受け入れてくれるって」
「よかった」
雪はゆっくり息を吐いた。
「じゃあ、車に行こう」
「うん。俺が支える」
遥斗は雪を支えながら玄関へ向かった。
病院バッグを持ち、水とお茶も忘れずに車へ運ぶ。
「雪、ゆっくりでいいから」
「ありがとう」
遥斗は雪を助手席に乗せ、シートベルトを確認する。
「苦しくない?」
「大丈夫」
「本当に?」
「遥斗、前見て運転してね」
「……はい」
雪は痛みに耐えながら、少し笑った。
遥斗は運転席に乗り込み、病院へ向けて車を走らせた。
「雪、陣痛どう?」
「……少しずつ強くなってる」
「もうすぐ病院だからな」
「うん」
信号で車が止まるたびに、遥斗は雪の様子を確認する。
「遥斗、心配しすぎ」
「だって、雪と赤ちゃんが心配なんだ」
「大丈夫。私、ちゃんと頑張るから」
「俺もそばにいるから」
遥斗はハンドルを握りしめる。
「絶対、無事に病院まで連れて行く」
「うん。信じてる」
車は別府の街を走っていく。
窓の外には、いつもの湯煙が見えていた。
二人が暮らしてきた、大切な別府の街。
その景色を眺めながら、雪が小さく呟く。
「遥斗……」
「ん?」
「赤ちゃん、もうすぐ会えるね」
「ああ」
遥斗は涙ぐみながら笑った。
「ずっと待ってたからな」
「うん……」
また陣痛がやってくる。
「……っ」
「雪!」
「大丈夫……」
雪は遥斗の手を握った。
「もうすぐ、三人家族だね」
遥斗も、その手を強く握り返した。
「ああ。もうすぐだ」
二人を乗せた車は、夜の別府を抜けて病院へ向かっていった。
五年前に交わした約束。
長い年月をかけて結ばれた二人。
そして今――。
二人の人生に、新しい命が加わろうとしていた。
そして、ついに臨月を迎えた。
遥斗は相変わらず、雪のことを心配していた。
「雪、無理してない?」
「大丈夫だよ」
「疲れたらすぐ休んで」
「分かってるって」
二人で笑い合いながら、赤ちゃんが生まれてくる日を楽しみに待っていた。
病院バッグも、雪が早くから準備していた。
「これで大丈夫」
バッグの中には、必要なものがきちんと入っている。
遥斗は何度も確認していた。
「本当に準備できてる?」
「うん。遥斗より私のほうが準備できてるよ」
「……確かに」
二人で笑った。
そして――。
その日は突然やってきた。
夜。
雪が立ち上がった瞬間、表情が変わった。
「……遥斗」
「どうした?」
「破水した」
「えっ!?」
遥斗の顔が一瞬で青ざめた。
「どうしよう……!」
慌てて立ち上がる。
けれど、何をすればいいのか分からない。
「病院バッグ……車……いや、病院に連絡……」
「遥斗、落ち着いて」
雪は冷静だった。
「病院バッグは準備してあるから、それを持ってきて」
「分かった!」
遥斗は急いでバッグを取りに行った。
「これだよね?」
「うん」
「他に必要なものは?」
「水分取りたいから、お水かお茶を準備して」
「分かった!」
遥斗は急いで水とお茶を用意する。
そのとき――。
「……っ」
雪が顔をしかめた。
「雪?」
「陣痛きた……」
「もう?」
「遥斗、病院に連絡して」
「分かった!」
遥斗は急いで病院へ電話をかけた。
「もしもし! 妻が破水して、陣痛も始まっていて……」
病院からいくつか確認され、遥斗は雪の状態を伝える。
「はい……はい。分かりました」
電話を切る。
「受け入れてくれるって」
「よかった」
雪はゆっくり息を吐いた。
「じゃあ、車に行こう」
「うん。俺が支える」
遥斗は雪を支えながら玄関へ向かった。
病院バッグを持ち、水とお茶も忘れずに車へ運ぶ。
「雪、ゆっくりでいいから」
「ありがとう」
遥斗は雪を助手席に乗せ、シートベルトを確認する。
「苦しくない?」
「大丈夫」
「本当に?」
「遥斗、前見て運転してね」
「……はい」
雪は痛みに耐えながら、少し笑った。
遥斗は運転席に乗り込み、病院へ向けて車を走らせた。
「雪、陣痛どう?」
「……少しずつ強くなってる」
「もうすぐ病院だからな」
「うん」
信号で車が止まるたびに、遥斗は雪の様子を確認する。
「遥斗、心配しすぎ」
「だって、雪と赤ちゃんが心配なんだ」
「大丈夫。私、ちゃんと頑張るから」
「俺もそばにいるから」
遥斗はハンドルを握りしめる。
「絶対、無事に病院まで連れて行く」
「うん。信じてる」
車は別府の街を走っていく。
窓の外には、いつもの湯煙が見えていた。
二人が暮らしてきた、大切な別府の街。
その景色を眺めながら、雪が小さく呟く。
「遥斗……」
「ん?」
「赤ちゃん、もうすぐ会えるね」
「ああ」
遥斗は涙ぐみながら笑った。
「ずっと待ってたからな」
「うん……」
また陣痛がやってくる。
「……っ」
「雪!」
「大丈夫……」
雪は遥斗の手を握った。
「もうすぐ、三人家族だね」
遥斗も、その手を強く握り返した。
「ああ。もうすぐだ」
二人を乗せた車は、夜の別府を抜けて病院へ向かっていった。
五年前に交わした約束。
長い年月をかけて結ばれた二人。
そして今――。
二人の人生に、新しい命が加わろうとしていた。

