数日後。
遥斗は無事に退院した。
大きな怪我ではなかったものの、雪は退院の日までずっと遥斗のことを心配していた。
「痛くない?」
「大丈夫」
「本当に?」
「本当だよ」
家に帰ってからも、遥斗は雪のことばかり気にしていた。
「雪、今日は座ってて」
「大丈夫だよ」
「荷物は俺が持つ」
「遥斗は怪我したばっかりでしょ」
「でも雪は妊娠してるから」
「だからって、何でも私のことを心配しすぎ!」
雪の声が少し大きくなる。
遥斗は驚いて雪を見る。
「……雪?」
「遥斗、過保護すぎるよ」
「でも……」
「私は病人じゃないよ。ちゃんと自分の体調は分かってる」
雪は少し怒った顔をしていた。
「それに、遥斗だって会社の社長なんだから、いつまでも家にいたら駄目でしょ?」
「……」
「明日から会社に行きなさい」
遥斗は黙った。
雪が遥斗に本気で怒ったのは、初めてだった。
「……分かった」
「本当に?」
「ああ」
遥斗は少し寂しそうに頷く。
「でも、無理はしないでね」
雪の声が優しくなる。
「それは遥斗も同じだから」
「うん」
遥斗は笑った。
「雪に怒られるの、初めてだな」
「だって心配なんだもん」
「俺も同じ」
「だから、お互い様」
二人は顔を見合わせる。
そして、ふっと笑った。
翌朝。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
遥斗は久しぶりに会社へ向かった。
振り返ると、玄関には雪が立っている。
「無理しないでね」
「雪もな」
遥斗は手を振り、会社へ向かった。
初めて妻に叱られた日。
けれど、それは――。
お互いを大切に思っているからこその、優しい叱りだった。
遥斗は無事に退院した。
大きな怪我ではなかったものの、雪は退院の日までずっと遥斗のことを心配していた。
「痛くない?」
「大丈夫」
「本当に?」
「本当だよ」
家に帰ってからも、遥斗は雪のことばかり気にしていた。
「雪、今日は座ってて」
「大丈夫だよ」
「荷物は俺が持つ」
「遥斗は怪我したばっかりでしょ」
「でも雪は妊娠してるから」
「だからって、何でも私のことを心配しすぎ!」
雪の声が少し大きくなる。
遥斗は驚いて雪を見る。
「……雪?」
「遥斗、過保護すぎるよ」
「でも……」
「私は病人じゃないよ。ちゃんと自分の体調は分かってる」
雪は少し怒った顔をしていた。
「それに、遥斗だって会社の社長なんだから、いつまでも家にいたら駄目でしょ?」
「……」
「明日から会社に行きなさい」
遥斗は黙った。
雪が遥斗に本気で怒ったのは、初めてだった。
「……分かった」
「本当に?」
「ああ」
遥斗は少し寂しそうに頷く。
「でも、無理はしないでね」
雪の声が優しくなる。
「それは遥斗も同じだから」
「うん」
遥斗は笑った。
「雪に怒られるの、初めてだな」
「だって心配なんだもん」
「俺も同じ」
「だから、お互い様」
二人は顔を見合わせる。
そして、ふっと笑った。
翌朝。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
遥斗は久しぶりに会社へ向かった。
振り返ると、玄関には雪が立っている。
「無理しないでね」
「雪もな」
遥斗は手を振り、会社へ向かった。
初めて妻に叱られた日。
けれど、それは――。
お互いを大切に思っているからこその、優しい叱りだった。

