月影に咲く、一輪の華

購買で買ったパンを抱えて、黒羽と並んで屋上へ戻る。

星羅「いっぱい買っちゃった!」

黒羽「本当に全部食うのか?」

星羅「食べるよ!」

黒羽「……すげぇな」

星羅「黒羽も食べる?」

黒羽「俺はいらねぇ」

星羅「じゃあこれ、琉生にあげよ!」

黒羽「お前、琉生の分まで買ってんのか」

星羅「うん!」

笑いながら屋上の扉を開ける。

星羅「ただいまー!」

來夢「遅かったな」

琉生「おかえりなさい、星羅さん!」

星羅「はい!琉生のパン!」

琉生「えっ、ありがとうございます!」

嬉しそうに受け取る琉生を見て、私も笑う。

その少し離れた場所で、星夜が黙って私を見ていた。

星羅「星夜!」

私はすぐに星夜のところへ行く。

星羅「お待たせ!」

星夜「……遅ぇ」

星羅「ごめんごめん。黒羽と話してた!」

星夜「……何話してた」

星羅「んー?」

私は少しだけ考える。

黒羽を見る。

黒羽は何も言わずに、私に任せるように視線を逸らした。

星羅「……秘密!」

星夜「…………」

星夜の顔が、ほんの少し曇る。

星羅「そんな顔しないでよ〜」

星夜「別に」

星羅「絶対気にしてるじゃん」

星夜「……姉ちゃん」

星羅「ん?」

星夜「俺に言えないことなら、無理して言わなくていい」

その声が、妙に優しかった。

胸がきゅっとなる。

星羅「……うん」

私は笑った。

星羅「ありがとう」

星夜「……ああ」