月影に咲く、一輪の華

購買に向かって廊下を歩いていると、すれ違う男の子たちがこっちを見てくる。

さっきからずっと見られてる気がするけど、そんなことより今はお昼ご飯!

今日は朝からバタバタしてたから、いつもよりお腹が空いてる気がする。

星羅「ねぇ叶多、購買ってパン以外もあるの?」

叶多「あるけど。お前、何食うつもりなんだよ」

星羅「んー。パンとおにぎりと……あとデザート!」

叶多「そんな食うの?」

星羅「だってお腹すいたもん!」

叶多「朝飯食ってきた?」

星羅「食べたよ!」

叶多「……それで?」

星羅「それでって?」

叶多「いや、なんでもねぇ」

叶多が呆れたように笑っている。

なんでだろう?

私は普通にお腹が空いてるだけなのに。

そんなことを考えながら歩いていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

來夢「星夜、今日の昼どこで食う?」

その名前を聞いた瞬間、私は勢いよく振り返った。

叶多「……え?」

いた。

少し先に、見慣れた黒髪が見える。

間違えるわけがない。

ずっと一緒に育ってきた、大好きな弟。

星羅「星夜ーーー!!」

叶多「うおっ!?」

叶多が驚く声も聞こえたけど、そんなことはどうでもいい。

私はそのまま星夜に向かって走り出した。

星夜「……は?」

私に気づいた星夜が目を見開く。

そのまま勢いよく抱きついて頬ずりをする。

星羅「星夜ー!やっと会えたぁ!」

星夜「……姉ちゃん」

星羅「寂しかったよ〜!」

星夜「朝も会っただろ」

星羅「朝は朝!今は今!」

星夜「意味わかんねぇよ。ていうか学校で抱きつくなって」

そう言いながらも、星夜は私を無理やり引き剥がそうとはしない。

やっぱり優しい。

星羅「だって同じクラスじゃなかったんだもん!ずっと会いたかった!」

星夜「……今会えてんだろ」

星羅「それまでが長いの!」

星夜「はいはい」

そんな私たちを、隣にいた男の子がぽかんとした顔で見ていた。