月影に咲く、一輪の華


すると、星夜が私の前に一歩出た。

星夜「……お前ら」

低い声。

一瞬で廊下が静かになる。

男子たち「…………」

星夜「姉ちゃん困ってんだろ」

星羅「星夜?」

星夜「教室行くぞ」

星羅「うん!」

私は素直に星夜の後ろについていく。

その瞬間、男子たちの間から小さな声が漏れた。

「……やっぱ星夜怖ぇ」

「でも姉ちゃんには甘いんだな」

「なんか羨ましい……」

その声を聞きながら、私は星夜の背中を見つめる。

星羅「星夜、助けてくれたの?」

星夜「……別に」

星羅「ありがとう!」

星夜「……ん」

少しだけ振り返った星夜の顔は、いつもの無表情だった。

でも私は知っている。

星夜は、昔から私が困っていると必ず助けてくれる。

――私の、大切な弟。

そして教室へ入った瞬間。

叶多「お前、朝から何やらかした?」

星羅「私、何もしてないよ!?」

叶多「じゃあ何で廊下があんな騒ぎになってんだよ」

星羅「知らない!」

叶多「……だろうな」

叶多が笑う。

どうやら今日も、静かな一日にはなりそうになかった。