月影に咲く、一輪の華

朝ご飯を食べ終えると、私は昨日より少しだけ余裕を持って家を出た。

もちろん、隣には星夜。

星羅「今日も一緒〜!」

星夜「……朝からくっつくな」

星羅「だって一緒に学校行けるの嬉しいんだもん」

星夜「昨日も言ってただろ」

星羅「嬉しいものは毎日嬉しいの!」

星夜「……はいはい」

今日も星夜の腕にぎゅっと捕まりながら歩く。

すると、学校が近づいてきたところで、前から歩いていた男子たちの声が聞こえてきた。

「なあ、あれじゃね?」

「昨日の転入生」

「星夜の姉ちゃんだろ?」

「マジでめちゃくちゃ美人じゃん……」

星羅「……?」

なんだろう。

さっきから、やけにこっちを見てくる人が多い。

星羅「ねぇ星夜」

星夜「ん?」

星羅「今日、みんなこっち見てない?」

星夜「……」

星夜が周りを見渡す。

すると、少し離れたところにいた男子たちが慌てて目を逸らした。

星夜「……気にすんな」

星羅「でも昨日より多くない?」

星夜「……噂になってんだろ」

星羅「噂?」

星夜「ああ」

星羅「私が?」

星夜「たぶんな」

星羅「何の?」

星夜「……知らねぇ」

星羅「えー!気になる!」

星夜「姉ちゃんは気にしなくていい」

星羅「なんで?」

星夜「……面倒だから」

星羅「?」

よく分からない。

でも、星夜がそう言うならいいか。

私はまた星夜の腕にぎゅっと抱きつく。

星羅「じゃあ今日も頑張ろうね!」

星夜「ああ」

そのまま校門をくぐる。

昨日とは明らかに違う視線。

でも私はまだ知らない。

この噂が、ただの「星夜の姉が転入してきた」という話だけでは終わらないことを。

そして今日――。

私の知らないところで、私を見に来る人間が増えていくことも。