月影に咲く、ただ1人の華


翌朝。

星羅「星夜ー!起きてー!」

昨日と同じように、私は星夜の部屋のドアを勢いよく開けた。

星夜「……姉ちゃん、昨日も起こしただろ」

星羅「今日も起こすよ!」

星夜「自分で起きれる」

星羅「でも私が起こしたいの!」

星夜「意味分かんねぇ」

布団にくるまったままの星夜を見て、私はため息をつく。

星羅「ほら、早く起きないと置いてくよ?」

星夜「……先に行けば?」

星羅「やだ」

星夜「……」

星羅「星夜と一緒じゃないと学校行かない」

星夜「子供かよ」

星羅「双子だからいいの!」

星夜「関係ねぇだろ」

そう言いながら、星夜はようやく布団から出てくる。

星羅「おはよ、星夜!」

星夜「……おはよ」

朝から星夜の顔が見られて満足。

私は先に部屋を出ようとする。

星羅「じゃあ下で待ってるね!」

星夜「ああ」

リビングへ向かいながら、昨日のことを思い出す。

今日も叶多と話せる。

お昼になったら星夜たちにも会える。

そして――。

星羅「今日も楽しい一日になりそう!」

思わず声に出して笑ってしまう。

だけど、そんな私が知らないところで。

桜凛高校では、昨日からある噂がどんどん広がっていた。

――「星夜に女の姉がいるらしい」

――「しかも、めちゃくちゃ美人らしい」

――「月影の屋上に普通にいたって」

――「しかも豹牙とバスケしてたらしいぞ」

昨日まで誰も知らなかった私の存在が、少しずつ学校中に知れ渡り始めていた。

そして今日。

私はまだ、その噂の中心に自分がいることすら知らなかった。