月影に咲く、一輪の華

屋上を出て、星夜と並んで廊下を歩く。

星羅「ねぇ星夜!」

星夜「ん?」

星羅「今日、楽しかったね!」

星夜「……そうかよ」

星羅「うん!」

昨日は転入初日で、何もかもが新しくて少し緊張していた。

でも今日は違った。

教室には叶多がいて、屋上に行けば黒羽たちがいて、そこには新しく琉生もいた。

たった二日なのに、私の周りにはたくさんの人が増えた気がする。

星羅「明日も屋上行っていい?」

星夜「……好きにしろ」

星羅「やった!」

嬉しくなって、星夜の腕にぎゅっと抱きつく。

星夜「……歩きにくい」

星羅「今日もこれで帰る!」

星夜「学校出るまでな」

星羅「えへへ」

そのまま歩いていると、前から叶多が歩いてきた。

叶多「お、星羅」

星羅「叶多!」

私は星夜から離れて、叶多のところへ駆け寄る。

叶多「今日はどうだった?」

星羅「楽しかった!」

叶多「それは何より」

星羅「午後ずっと屋上にいた!」

叶多「……お前、本当に授業受けてないんだな」

星羅「うん!」

叶多「堂々と言うなよ」

星羅「だって楽しかったんだもん!」

叶多「はいはい」

叶多が笑う。

星夜は少し離れたところで、そんな私たちを見ていた。

叶多「じゃあ、俺こっちだから」

星羅「うん!また明日ね!」

叶多「ああ。また明日」

叶多が手を振って去っていく。

星羅「明日も楽しみだなぁ」

星夜「……姉ちゃん」

星羅「ん?」

星夜「学校、楽しいか?」

突然の質問。

私は少しだけ驚いて、それから笑った。

星羅「うん。すっごく楽しい!」

星夜「……そっか」

星羅「星夜がいるからね!」

星夜「……それだけかよ」

星羅「それだけじゃないよ」

少し考えてから答える。

星羅「叶多もいるし、黒羽くんたちもいるし……琉生も可愛いし!」

星夜「…………」

星羅「それに、これからもっと友達増えそう!」

星夜はしばらく黙っていた。

そして、小さく息を吐く。

星夜「……なら、よかった」

星羅「?」

星夜「何でもねぇ」

星羅「またそれ!」

笑いながら、私はもう一度星夜の腕に抱きついた。

夕暮れの道を、二人並んで歩いていく。

昨日より少しだけ、この高校が好きになっていた。