月影に咲く、一輪の華


その様子を見ていた來夢が、黒羽の隣へ寄った。

來夢「……星羅ちゃんって、すごいよね」

黒羽「ああ」

來夢「明るいし、誰とでもすぐ仲良くなるし」

黒羽「……そうだな」

來夢「でも、さっきの言葉……」

黒羽「……」

黒羽は答えなかった。

ただ、バスケをしている星羅を見つめる。

楽しそうに笑っている。

何も悩みなんてなさそうに。

だけど――。

「命に変えても守りたいものがある」

あの言葉だけが、妙に頭に残っていた。

その横では星夜も、何も言わずに姉を見ている。

星羅「星夜ー!見てた!?」

星夜「ああ」

星羅「私勝ったよ!」

星夜「……見てた」

星羅「やった!」

嬉しそうに笑う星羅。

星夜はそんな姉を見つめながら、ほんの少しだけ目を細めた。

昔から知っている。

星羅が、どれだけ強がりなのか。

どれだけ自分のことより誰かを優先するのか。

そして――。

あの日から、何を恐れているのかも。

星夜「……姉ちゃん」

星羅「ん?」

星夜「……何でもねぇ」

星羅「もう!最近それ多くない?」

星夜「気にすんな」

星羅「気になる!」

笑いながら星夜に近づく。

その笑顔を見て、星夜は何も言わなかった。

今はまだ。

星羅が笑っていられるなら、それでいいと思った。