月影に咲く、一輪の華

一時間目の数学が始まってしばらくすると、昨日と同じように眠気が襲ってきた。

星羅「……眠い」

叶多「おい」

小声で注意されて、慌てて姿勢を正す。

星羅「寝てないよ」

叶多「まだ寝てねぇだけだろ」

星羅「失礼な!」

叶多「昨日も同じこと言ってたぞ」

星羅「今日は大丈夫!」

そう言った直後――。

先生「じゃあ、星羅さん」

星羅「はい!」

反射的に返事をする。

先生「この問題、解いてみてください」

黒板を見る。

昨日より少し難しい問題。

でも、これくらいなら簡単だ。

星羅「はーい!」

席を立って黒板の前へ向かう。

チョークを持って、問題を解いていく。

カツ、カツ、とチョークの音だけが教室に響く。

最後まで書き終えて、振り返る。

星羅「できました!」

先生「……正解です」

クラスの男子たちから小さなどよめきが起こる。

「また正解したぞ」

「頭いいんだな……」

「昨日も一発だったよな」

そんな声が聞こえてくる。

私はちょっと嬉しくなって笑った。

星羅「よしっ!」

席に戻ると、叶多が感心したようにこっちを見る。

叶多「お前、本当に頭いいんだな」

星羅「そうかな?」

叶多「昨日もそうだったけど、ほとんど考えてなかっただろ」

星羅「だって簡単だったし」

叶多「……それをさらっと言えるのがすげぇよ」

星羅「えへへ」

褒められるとやっぱり嬉しい。

先生「じゃあ、次の問題――」

授業が続いていく。

今度こそ寝ないように頑張ろう。

そう思っていたのに――。

窓から入ってくる暖かい風が気持ちよくて、また少しずつ瞼が重くなっていく。

叶多「……星羅」

星羅「ん……?」

叶多「寝るなよ」

星羅「寝てない……」

叶多「目閉じてるぞ」

星羅「……目を休ませてるだけ」

叶多「それを寝るって言うんだよ」

思わず笑いそうになって、慌てて口元を押さえる。

先生に見つかったらまた怒られる。

私は頑張って目を開けながら、心の中で小さく誓った。

――今日は絶対、寝ない!

……たぶん。