月影に咲く、一輪の華

星羅「それでね、観覧車にも乗ったの!」

星夜「へぇ」

星羅「夕方だったから、上から見た景色がすっごく綺麗だったんだよ」

そう言いながら、星羅はスマホを取り出す。

星羅「ほら!」

豹牙「……また写真か」

星羅「うん!」

画面に映っていたのは、観覧車の中で笑う星羅。

その次には、メリーゴーランド。

そして、夕焼けを背景に二人で撮った写真。

來夢「……いい写真だね」

星羅「でしょ?」

星羅は嬉しそうに写真を一枚ずつ見せていく。

星羅「これはね、はるちゃんが撮ってくれたの」

朔夜「……すごく自然な顔してる」

星羅「そうなの! 私が気づいてない時に撮ってたみたい」

黒羽「……遥愛、写真撮るの上手いな」

星羅「うん!」

夜凪「…………」

夜凪は黙って写真を見る。

夕焼けの中で笑っている星羅は、本当に幸せそうだった。

星羅「それでね!」

星羅が次の写真を表示する。

星羅「これ、二人で撮ったやつ♡」

星夜「……お」

豹牙「…………」

來夢「…………」

朔夜「…………」

黒羽「…………」

夜凪「…………」

星羅と遥愛が肩を寄せ合って笑っている。

まるで、本当に恋人同士のような一枚だった。

星羅「これ、今日一番好き」

星夜「姉ちゃん、めちゃくちゃ嬉しそうだな」

星羅「うん!」

星羅は写真を眺めながら、頬を緩ませる。

星羅「また二人で行きたいなぁ」

その言葉に、月影の空気が一瞬止まった。

豹牙「……そっか」

來夢「……楽しかったならよかったよ」

朔夜「うん」

黒羽「…………」

夜凪「……また行けばいい」

星羅「ほんと?」

夜凪「うん」

星羅「じゃあ次、どこがいいかなぁ」

星夜「もう次の話?」

星羅「だって楽しかったんだもん」

あはは、と笑う星羅。

その笑顔を見て、誰も何も言えなかった。

ただ――。

豹牙は心の中で思う。

俺と遊ぶ日も、こんな顔で笑わせたい。

來夢も。

朔夜も。

黒羽も。

夜凪も。

そして星夜も。

それぞれが、同じように思っていた。

すると星羅がスマホをしまって、ふと立ち上がる。

星羅「……お腹空いた」

星夜「急だな」

星羅「今日いっぱい歩いたから」

星夜「何食べる?」

星羅「んー……」

少し考えてから、星羅は笑う。

星羅「みんなでご飯食べよ!」

豹牙「いいな」

來夢「賛成」

朔夜「何にする?」

星羅「お肉!」

星夜「また肉?」

星羅「あははっ!」

今日も倉庫に、星羅の笑い声が響く。

そしてその夜――。

星羅が眠りについたあと。

月影のメンバーは、もう一度だけ顔を見合わせることになる。

夏休みはまだ長い。

だからこそ――。

自分の番を、絶対に無駄にしたくなかった。