月影に咲く、一輪の華

教室に入ると、昨日より少しだけ慣れた景色が広がっていた。

昨日は教室に入るだけでも緊張していたのに、今日はなんだか不思議と落ち着く。

自分の席へ向かっていると、隣の席から声が飛んできた。

叶多「お、今日は遅刻しなかったな」

星羅「失礼な!私、昨日も遅刻してないよ!」

叶多「昨日は転入初日だからだろ」

星羅「じゃあ今日も偉いじゃん!」

叶多「自分で言うなよ」

星羅「だって褒めてほしいんだもん」

叶多「はいはい。偉い偉い」

星羅「わーい!」

叶多が呆れたように笑う。

昨日初めて話したばかりなのに、もうこんなくだらないやり取りができる。

やっぱり友達っていいな。

星羅「ねぇ叶多!」

叶多「ん?」

星羅「今日の一時間目って何?」

叶多「数学」

星羅「……寝ようかな」

叶多「昨日先生に注意されたばっかだろ」

星羅「だって眠たいんだもん」

叶多「また寝たら今度こそ怒られるぞ」

星羅「じゃあ頑張って起きてる!」

叶多「その意気込みを昨日から出せよ」

星羅「昨日はちょっと疲れてたの!」

そんな話をしていると、教室の前の扉が開いた。

先生「おーい、席つけー。HR始めるぞ」

みんながそれぞれ席に戻っていく。

私も自分の席に座る。

先生が出席を取り始める中、ふと窓の外を見る。

今日もいい天気。

昨日は初めてのことばかりで一日があっという間だった。

今日はどんな一日になるんだろう。

叶多「星羅」

小さな声で呼ばれて振り向く。

叶多「……今、絶対なんか楽しいこと考えてただろ」

星羅「え?なんで?」

叶多「顔に出てる」

星羅「ほんと!?」

叶多「ああ」

星羅「じゃあいいことじゃん!」

叶多「まあな」

二人で小さく笑う。

そして私は前を向いた。

昨日より少しだけ、この教室が好きになっていた。