月影に咲く、一輪の華

メリーゴーランドへ向かう途中も、二人の手は繋がったままだった。

星羅「なんか、はるちゃん今日ずっと私の手握ってるね」

遥愛「……嫌ですか?」

星羅「ううん」

星羅は嬉しそうに笑う。

星羅「むしろ好き♡」

遥愛「…………」

また遥愛の顔が赤くなる。

星羅「ふふっ」

遥愛「星羅さん、本当にそういうこと平気で言いますよね」

星羅「だって本当だもん」

遥愛「…………」

遥愛は何も言えなくなって、ただ繋いだ手に少しだけ力を込めた。

やがて、メリーゴーランドが見えてくる。

星羅「わぁ!」

星羅の目が輝く。

星羅「これ乗ろう!」

遥愛「はい」

二人で並んで乗り場へ向かう。

星羅「どれにする?」

遥愛「星羅さんが選んでいいですよ」

星羅「じゃあ、これ!」

星羅が選んだのは、二人並んで乗れる大きな馬車だった。

遥愛「……隣、いいですか?」

星羅「もちろん!」

二人で腰掛ける。

音楽が流れ始め、メリーゴーランドがゆっくり回り出す。

星羅「ふふっ……なんか楽しい」

遥愛「こういうのもいいですね」

星羅「うん」

星羅はスマホを取り出して、遥愛とのツーショットを撮る。

パシャッ。

星羅「見て!」

遥愛「……いいですね」

星羅「今日の写真、何枚目かな?」

遥愛「もう数えてないです」

星羅「あははっ!」

そして今度は、遥愛がスマホを取り出す。

星羅「はるちゃんも撮る?」

遥愛「はい」

星羅「私?」

遥愛「……はい」

星羅「いいよ♡」

遥愛は、メリーゴーランドの光の中で笑う星羅を撮る。

パシャッ。

星羅「見せて!」

遥愛「どうですか?」

星羅「……めっちゃ可愛い」

遥愛「星羅さんが?」

星羅「うん!」

星羅は写真をじっと見つめる。

星羅「これ、待ち受けにしたいくらい」

遥愛「……じゃあ、送ります」

星羅「ほんと?」

遥愛「はい」

星羅「やった♡」

メリーゴーランドが一周して、ゆっくり止まる。

星羅「もう終わり?」

遥愛「早かったですね」

星羅「もっと乗りたかった」

遥愛「また乗ればいいですよ」

星羅「……そうだね!」

星羅は立ち上がり、また遥愛の手を取る。

星羅「じゃあ、次!」

遥愛「まだ行きますか?」

星羅「もちろん!」

遥愛「元気ですね……」

星羅「だって今日は、はるちゃんと一日遊ぶ日だもん」

遥愛「…………」

その言葉に、遥愛は小さく笑った。

星羅「どうしたの?」

遥愛「……嬉しいなって」

星羅「何が?」

遥愛「こうやって一日一緒にいられること」

星羅「…………」

今度は星羅が少しだけ黙る。

そして――。

星羅「私も嬉しい♡」

二人は顔を見合わせて笑う。

そのまま、また手を繋いで歩き出した。

次に向かう先は――。

二人がまだ一度も行っていない、園内の大きな展望エリアだった。