月影に咲く、一輪の華

観覧車がゆっくりと上へ上がっていく。

星羅「わぁ……海まで見える」

遥愛「本当ですね」

星羅は窓の外を眺めながら、嬉しそうに笑っている。

けれど、しばらくすると――。

星羅「……ねぇ、はるちゃん」

遥愛「はい?」

星羅「さっきからずっとこっち見てない?」

遥愛「…………」

遥愛が少しだけ目を逸らす。

星羅「ふふっ」

遥愛「……すみません」

星羅「なんで謝るの?」

遥愛「いや……」

星羅「私のこと見てた?」

遥愛「……はい」

星羅「どうして?」

遥愛「…………」

少し迷ってから。

遥愛「楽しそうだなって」

星羅「…………」

星羅の頬が、ほんのり赤くなる。

星羅「……私、そんなに楽しそう?」

遥愛「はい。ずっと笑ってます」

星羅「だって楽しいもん」

遥愛「……よかったです」

星羅「はるちゃんも楽しい?」

遥愛「はい」

星羅「ほんと?」

遥愛「本当です」

星羅「……ならよかった♡」

星羅は嬉しそうに笑って、また窓の外を見る。

少しして――。

星羅「ねぇ、写真撮ろうよ」

遥愛「ここで?」

星羅「うん!」

星羅がスマホを取り出す。

星羅「観覧車って二人で撮るの難しいね」

遥愛「じゃあ俺が撮ります」

星羅「え?」

遥愛がスマホを受け取る。

遥愛「こっち向いてください」

星羅「こう?」

遥愛「はい」

パシャッ。

星羅「見せて!」

遥愛「どうですか?」

星羅「……わぁ」

画面には、観覧車の窓から差し込む光の中で笑っている星羅。

星羅「めっちゃ好き」

遥愛「よかった」

星羅「これも送って♡」

遥愛「はい」

星羅「今日の写真、いっぱい増えたね」

遥愛「そうですね」

星羅はスマホを眺めながら、ふと笑った。

星羅「……なんかカップルみたい」

遥愛「…………」

遥愛が固まる。

星羅「?」

遥愛「……星羅さん」

星羅「ん?」

遥愛「そういうこと、さらっと言うのやめてください」

星羅「あははっ! また赤くなった!」

遥愛「…………」

星羅「可愛い♡」

遥愛「もう……」

星羅は楽しそうに笑う。

そして観覧車が頂上へ近づいていく。

星羅「……綺麗」

遥愛「はい」

夕方の空と海が、二人の目の前に広がっていた。

星羅「今日、はるちゃんが連れてきてくれたところ、全部好き」

遥愛「……本当ですか?」

星羅「うん」

星羅は遥愛を見る。

星羅「私のこと考えて選んでくれたのが嬉しい」

遥愛「…………」

星羅「ありがとう」

遥愛「……どういたしまして」

少し照れながら、遥愛も笑った。

そして観覧車は、ゆっくりと下降していく。

星羅「まだ帰りたくないなぁ」

遥愛「まだ時間ありますよ」

星羅「ほんと?」

遥愛「はい。今日は一日、ゆっくり遊びましょう」

星羅「……やった♡」

星羅は嬉しそうに笑って、次に行く場所を考え始めた。

遊園地デートは、まだ終わらない。