月影に咲く、一輪の華

車に乗り込んでしばらくすると、星羅は隣の遥愛をちらちらと見る。

星羅「ねぇ、はるちゃん」

遥愛「はい?」

星羅「本当にどこ行くの?」

遥愛「まだ秘密です」

星羅「むぅ……」

頬を膨らませる星羅。

遥愛「そんなに気になります?」

星羅「気になる!」

遥愛「じゃあ、もう少しだけ我慢してください」

星羅「……分かった」

そう言いながらも、星羅は楽しそうだった。

やがて車が停まる。

星羅「……ここ?」

遥愛「はい」

星羅が外を見る。

そこには――。

大きなガラス張りの建物と、その周りに広がる緑。

星羅「……え?」

遥愛「少しだけ寄り道です」

星羅「ここ、何?」

遥愛「入ってからのお楽しみです」

星羅は目を輝かせる。

星羅「行こ!」

遥愛「はい」

二人で中へ入っていく。

そこには、たくさんの動物や植物を楽しめる施設が広がっていた。

星羅「わぁ……!」

星羅は子どものように目を輝かせながら、次々と展示を見ていく。

星羅「はるちゃん、見て!」

遥愛「はい」

星羅「かわいい!」

遥愛「星羅さん、こういうの好きなんですね」

星羅「うん! 可愛いもの大好き!」

そう言って笑う星羅。

遥愛はそんな星羅を見ながら、自然と笑った。

星羅「……あ」

遥愛「どうしました?」

星羅「はるちゃん」

遥愛「はい?」

星羅「ここ、連れてきてくれてありがとう」

遥愛「……喜んでもらえてよかったです」

星羅「すっごく嬉しい♡」

星羅は嬉しそうに遥愛の腕へくっつく。

遥愛「…………」

星羅「今日、最高の日になりそう!」

遥愛「……まだ遊園地もありますよ」

星羅「そうだった!」

星羅はさらに嬉しそうに笑った。

そのまま二人は、ゆっくり施設の中を歩いていく。

展示を見るたびに星羅が遥愛を呼び、遥愛がその隣で笑う。

まるで――。

最初から恋人同士だったみたいに。