月影に咲く、一輪の華

朝ご飯を食べ終わって、家を出る準備をする。

昨日と同じ制服。

昨日と同じ鞄。

でも、今日は昨日とは違う。

だって――。

星羅「星夜、一緒に行こ!」

星夜「……分かってる」

玄関を出た瞬間、私は星夜の腕にぎゅっと抱きついた。

星夜「……朝からかよ」

星羅「いいじゃん!昨日は学校着いてからしか一緒にいられなかったもん」

星夜「学校着いたら離れろよ」

星羅「えー」

星夜「……姉ちゃん」

星羅「分かった分かった」

口ではそう言いながら、学校に着くまでは絶対に離さない。

昨日は初めての学校で緊張していたけど、今日はもう違う。

桜凛高校がどんな学校なのかも少し分かったし、叶多という友達もできた。

それに――。

星羅「今日もお昼、屋上行く?」

星夜「ああ」

星羅「やった!」

思わず笑顔になる。

昨日出会った月影のみんなにも、また会える。

黒羽、朔夜、豹牙、夜凪、來夢。

まだ一日しか一緒に過ごしていないのに、なんだかまた会いたいと思ってしまう。

特に豹牙は、昨日の反応が面白かった。

星羅「……ふふっ」

星夜「何笑ってんだよ」

星羅「昨日の豹牙思い出してた」

星夜「……豹牙?」

星羅「うん!顔赤くしてたの!」

星夜「…………」

急に星夜が黙った。

星羅「どうしたの?」

星夜「……別に」

星羅「?」

なんだろう。

昨日から星夜は、私が月影の話をすると少しだけ機嫌が悪くなる気がする。

まあ、気のせいかな。

そんなことを考えながら歩いていると、桜凛高校が見えてきた。

星羅「着いたー!」

星夜「じゃあ、ここから別々な」

星羅「えー……」

星夜「クラス違うだろ」

星羅「分かってるよ」

名残惜しくて、最後にもう一度だけ星夜の腕にぎゅっと抱きつく。

星羅「じゃあまたお昼ね!」

星夜「ああ」

星羅「絶対だよ?」

星夜「分かってる」

その言葉を聞いて、私はようやく星夜から離れた。

そして自分の教室へ向かって歩き出す。

昨日とは違う。

今日はちゃんと、ここに自分の居場所がある気がした。