月影に咲く、一輪の華

星羅「じゃあ、みんなで予定決めようよ!」

瑛翔「俺、絶対早い日がいい!」

刹那「……俺も、できれば早めがいい」

朧「俺はいつでも大丈夫だよ」

三人がそれぞれ日にちを考え始める。

星羅はそのやり取りを楽しそうに眺めながら、スマホのカレンダーを開いていた。

星羅「えっと……この日は月影の豹牙で、その次が來夢で……」

瑛翔「ちゃんと予定管理してるんだな」

星羅「うん! せっかくみんなと遊ぶんだから、忘れたくないもん」

そう言って笑う星羅。

その少し離れたところで、紅蓮は腕を組んだまま、その様子を眺めていた。

いつもなら、誰かが星羅に近づけば茶化す。

誰かが照れていれば笑う。

少し離れたところから、みんなのやり取りを眺めていることが多い。

今日も最初はそうするつもりだった。

けれど――。

星羅「みんなと遊べるの、楽しみだなぁ」

その顔があまりにも嬉しそうで。

紅蓮「…………」

気づけば、紅蓮は星羅の前まで歩いていた。

星羅「ん?」

紅蓮は何も言わず、星羅の頭へ手を置く。

そして――。

ぽん、ぽん。

優しく頭を撫でた。

星羅「……!」

少し驚いたあと、星羅が嬉しそうに笑う。

星羅「紅蓮?」

紅蓮「……そんな嬉しそうな顔すんな」

星羅「だって、みんなと遊べるんだもん」

紅蓮「……そっか」

もう一度、よしよしと頭を撫でる。

紅蓮「楽しんでこい」

星羅「うん!」

その光景を見ていた瑛翔が、目を丸くする。

瑛翔「……紅蓮が普通に優しい」

刹那「…………」

朧「ふふっ」

紅蓮「お前ら、何だよ」

瑛翔「いや、いつも茶化してるから」

紅蓮「俺だって星羅のことは好きだからな」

さらっと言われて、今度は星羅がきょとんとする。

星羅「……好き?」

紅蓮「仲間としてな」

星羅「ふふっ」

紅蓮「何笑ってんだ」

星羅「なんか嬉しい」

紅蓮「……ならいい」

紅蓮は照れ隠しのように星羅から離れる。

そして――。

星羅「じゃあ、紅蓮はいつ遊ぶ?」

紅蓮「俺か?」

星羅「うん!」

紅蓮は少し考える。

紅蓮「……○日は?」

星羅「空いてる!」

紅蓮「じゃあ決まり」

星羅「どこ行く?」

紅蓮「それは当日まで秘密」

星羅「えー!」

紅蓮「たまには俺が決める」

星羅「分かった!」

楽しそうに笑う星羅。

その後も一人ずつ予定を決めていく。

瑛翔「俺は○日!」

星羅「うん!」

刹那「俺は○日で」

星羅「分かった!」

朧「俺は○日がいいな」

星羅「じゃあそこね!」

紅蓮「これで朱雀も全員分決まったな」

星羅「やったぁ!」

星羅はカレンダーを眺める。

月影との予定。

朱雀との予定。

遥愛との遊園地。

そして、みんなでのバーベキュー。

予定で埋まっていくカレンダーを見るだけで、胸がいっぱいになる。

星羅「……夏休み、最高だね」

瑛翔「だな」

刹那「……うん」

朧「楽しみだね」

紅蓮「ちゃんと全部覚えとけよ」

星羅「大丈夫!」

星羅は胸を張って笑った。

――この夏。

星羅の周りには、いつの間にかたくさんの「楽しみ」が増えていた。