月影に咲く、一輪の華


その言葉が、妙に胸に刺さる。

遥愛には、焦りがない。

星羅を奪おうともしていない。

ただ、星羅と過ごす時間を大切にしている。

それが逆に強かった。

紅蓮「……分かった」

紅蓮が立ち上がる。

紅蓮「じゃあ、会議は一旦終わりだ」

豹牙「よし」

瑛翔「俺、帰ったら誘う」

朧「俺も」

刹那「…………俺も」

來夢「俺も考えよう」

朔夜「うん」

黒羽「…………」

夜凪「俺も、誘う」

星夜「じゃあ俺もまた姉ちゃんと遊ぶ」

豹牙「お前はもう昨日遊んだだろ」

星夜「姉弟なんだからいいだろ」

豹牙「……まぁな」

そんな会話をしながら、それぞれ倉庫へ戻る準備を始める。

そして――。

一番最後まで残っていた遥愛が、スマホを見る。

画面には、星羅とのトーク画面。

昨日の夏祭りの写真。

そして、次の約束。

遊園地。

遥愛は写真を一枚眺めて、ほんの少しだけ笑った。

遥愛「……楽しみだな」

その頃。

月影の倉庫では――。

星羅「ただいまぁ!」

星羅が元気よく扉を開けていた。

星夜「姉ちゃん、おかえり」

星羅「ねぇ星夜!」

星夜「ん?」

星羅「今度、みんなとも遊びに行きたい!」

星夜「……ほらな」

豹牙たち「…………」

星羅「?」

星羅は不思議そうに首を傾げる。

星羅「どうしたの?」

豹牙「……いや」

來夢「何でもないよ」

朧たちがまだここにいないことも、星羅は気にしていない。

ただ、楽しそうに笑っている。

星羅「夏休みいっぱいあるんだから、みんなでいっぱい遊ぼうよ!」

その一言で――。

月影の男たちは、一斉に顔を見合わせた。

……チャンスは、まだある。