月影に咲く、一輪の華


すると――。

叶多「お、戻ってきた」

星羅「叶多!」

自分の席に戻ると、叶多が椅子を少しこちらへ向けている。

星羅「聞いて聞いて!」

叶多「何?」

星羅「星夜が暴走族だった!」

叶多「……今さら?」

星羅「今さらじゃないよ!」

思わず声が大きくなる。

星羅「私、今日初めて知ったんだから!」

叶多「そうだったな」

星羅「しかもね、星夜より強いって言われた!」

叶多「それは本人から聞いた」

星羅「え?」

叶多「屋上でな」

星羅「あ、そうだった!」

叶多「お前、忘れるの早すぎだろ」

星羅「いっぱい色んなことがあったから!」

叶多「まあ、確かに」

私は今日あったことを思い出しながら、嬉しくなって話し続ける。

星羅「それでね、黒羽っていう総長がいて、朔夜が副総長で――」

叶多「へぇ」

星羅「豹牙って人がね、喧嘩強いの?って聞いてきたの!」

叶多「お前、また変な絡み方しただろ」

星羅「失礼な!」

叶多「どうせ距離近づけて笑ったりしたんだろ?」

星羅「……なんで分かるの?」

叶多「今日一日見てたら分かる」

星羅「ひどい!」

叶多が笑う。

なんだか教室に戻ってくると、屋上とはまた違う安心感がある。

叶多とはまだ出会ったばかりなのに、もう昔からの友達みたいに話せる。

そのとき、午後の授業終了を知らせるチャイムが鳴った。

星羅「終わったー!」

叶多「初日から疲れただろ?」

星羅「全然!」

むしろ、楽しかった。

新しい友達ができて。

星夜とも一緒にお昼を食べられて。

そして――。

明日からもまた会いたいと思える人たちができた。

私はまだ知らない。

この日出会った人たちとの関係が、これから私の毎日を大きく変えていくことを。