月影に咲く、一輪の華


ようやく扉が閉まる。

――静寂。

残された朱雀のメンバーと遥愛。

数秒後。

紅蓮「……いや」

紅蓮が堪えきれず吹き出す。

紅蓮「あそこまで来ると、もう逆にウケるな」

瑛翔「はははっ! 本当に!」

刹那「……あれは凄かった」

遥愛「…………」

遥愛は少し照れながら、閉じた扉を見る。

紅蓮「遥愛、お前すげぇな」

遥愛「……俺は何もしてないですよ」

瑛翔「それが余計すごいんだよ」

紅蓮「会って一日であそこまで懐かれるとはな」

一方――。

笑っている者ばかりではなかった。

朧「…………」

刹那「…………」

二人は少し複雑そうに、扉を見つめている。

星羅があんなに離れたくないと言った相手。

それが、自分たちではなく遥愛だった。

朧「……まぁ」

朧が小さく息を吐く。

朧「星羅が楽しそうだったから」

刹那「……そうだな」

遥愛「…………」

遥愛はそんな二人を見て、少し申し訳なさそうにする。

遥愛「……俺、何か悪いことしましたか?」

紅蓮「いや」

紅蓮は笑いながら遥愛の肩を軽く叩く。

紅蓮「お前は何も悪くねぇよ」

瑛翔「むしろ、これから大変だと思うけど」

遥愛「……大変?」

瑛翔「星羅ちゃん、絶対また来るから」

遥愛「…………」

そして――その頃、月影へ戻る道では。

星羅「…………」

まだ少し寂しそうな顔をしていた。

けれど、スマホを取り出して――。

星羅「……はるちゃん」

連絡先を開く。

星羅「帰ったら連絡しよ♡」

その顔には、もう次に会う約束を楽しみにするような笑顔が戻っていた。