月影に咲く、一輪の華

帰る時間が近づいてきても――。

星羅は、相変わらず遥愛の隣から離れなかった。

星羅「はるちゃん、今日は楽しかったね」

遥愛「はい。俺も楽しかったです」

星羅「またすぐ会いたい」

遥愛「……俺も、また遊びに来ます」

星羅「ほんと?」

遥愛「はい」

その言葉を聞いて、星羅の顔がぱっと明るくなる。

星羅「約束ね!」

遥愛「約束です」

星羅は嬉しそうに笑う。

けれど――。

少し離れたところから、月影のメンバーが声をかける。

豹牙「星羅。そろそろ帰るぞ」

星羅「…………え」

星羅の表情が一瞬で曇った。

星羅「もう?」

豹牙「ああ。遅くなる」

星羅「…………」

星羅は遥愛を見る。

そして――。

ぎゅっ。

遥愛「……星羅さん?」

星羅「やだ……」

遥愛「…………」

星羅「まだはるちゃんと一緒にいたい」

遥愛「でも、もう帰る時間ですから……」

星羅「やだぁ……」

その声が、少しだけ震える。

豹牙「星羅」

星羅「…………」

豹牙「帰るぞ」

星羅「…………」

それでも離れない。

すると、豹牙が仕方なく星羅の腕を掴んだ。

豹牙「ほら、行くぞ」

星羅「やぁ!」

豹牙「おい!」

星羅「はるちゃぁぁあん!」

遥愛「……っ」

星羅「すぐ会いに来るからねー!」

遥愛「はい!」

星羅「絶対だからね!」

遥愛「はい、待ってます!」

豹牙「早くしろ!」

星羅「やだぁぁ……!」

ずるずると引っ張られていく。

星羅は最後まで遥愛に手を伸ばしながら叫ぶ。

星羅「はるちゃーん!」

遥愛「星羅さん!」

星羅「今度泊まりに来てー!」

遥愛「……はい!」

星羅「連絡してねー!」

遥愛「します!」

星羅「絶対だよー!」

遥愛「絶対です!」

星羅「はるちゃぁぁあん……!」

ついに倉庫の扉のところまで連れていかれる。

星羅「離れたくないよぉぉ……!」

豹牙「お前、どんだけ気に入ったんだよ!」

瑛翔「はははっ!」

來夢「星羅ちゃん、またすぐ会えるって!」

星羅「でも離れたくないのー!」

朔夜「……本当にすごいな」

黒羽「ここまでとは思わなかった」

夜凪「…………」

星羅「はるちゃん、またねー!」

遥愛「はい。また!」