月影に咲く、ただ1人の華

星羅「はるちゃん♡」

遥愛「…………」

まただ。

名前を呼ばれるだけで、遥愛の胸が妙に騒ぐ。

星羅はそんなことなど知らず、遥愛の隣にぴったりくっついたまま、スマホを眺めていた。

星羅「ねぇ、今日撮った写真さ」

遥愛「はい」

星羅「待ち受けにする?」

遥愛「……もう星羅さんがしてるじゃないですか」

星羅「うん!」

遥愛「…………」

星羅「はるちゃんもしてくれたら嬉しいなぁ」

遥愛「…………」

少しだけ迷って。

遥愛「……じゃあ、します」

星羅「ほんと!?」

遥愛「はい」

星羅「やったぁ!」

星羅が嬉しそうに遥愛の腕へ抱きつく。

その光景を、少し離れたところから見ていた瑛翔たちは――。

瑛翔「…………」

豹牙「…………」

來夢「…………」

朔夜「…………」

黒羽「…………」

刹那「…………」

夜凪「…………」

紅蓮「……お前ら、顔に出すぎ」

豹牙「出るだろ」

瑛翔「だって……」

瑛翔がスマホを見る。

自分の連絡先には、当然♡なんて付いていない。

瑛翔「俺だって、あんなふうに名前呼ばれたい……」

紅蓮「さっき本人に言っただろ」

瑛翔「笑い飛ばされたんだよ!」

豹牙「ははっ」

瑛翔「笑うな!」

星羅「……あ」

突然、星羅が顔を上げる。

星羅「そういえば、みんな写真撮ってないよね?」

瑛翔「え?」

星羅「私と」

その一言に、全員の目が一斉に星羅へ向いた。

豹牙「…………」

來夢「…………」

朔夜「…………」

黒羽「…………」

刹那「…………」

夜凪「…………」

紅蓮「…………」

朧「…………」

星夜「姉ちゃん、今気づいたの?」

星羅「うん」

星夜「遅いなぁ」

星羅「だって、はるちゃんと撮るの楽しかったんだもん」

遥愛「…………」

また遥愛が照れる。

星羅「みんなとも撮ろうよ!」

瑛翔「……いいの?」

星羅「もちろん!」

瑛翔「…………!」

豹牙「マジか」

星羅「一人ずつでもいいし、みんなで撮ってもいいよ」

瑛翔「じゃあ俺、一番――」

豹牙「お前だけ抜け駆けすんな」

瑛翔「まだ何も言ってない!」

紅蓮「はははっ」

星羅は楽しそうに笑いながらスマホを構える。

けれど――。

遥愛の手だけは、まだ握ったままだった。

星羅「まずはみんなで撮ろう!」

星夜「じゃあ俺も」

星羅「うん!」

星羅が真ん中へ。

その隣には星夜。

そして反対側には――遥愛。

月影と朱雀のメンバーが後ろに並ぶ。

星羅「みんな、笑って!」

パシャッ。

写真を確認する。

瑛翔「……いい写真」

豹牙「……まぁな」

星羅「ふふっ」

嬉しそうに写真を眺める。

そして――。

星羅「これも大事にしよ」

その言葉に、みんなの表情が少しだけ柔らかくなった。

星羅「じゃあ次!」

瑛翔「……次?」

星羅「一人ずつ撮ろう!」

瑛翔「…………!」

豹牙「…………!」

來夢「…………!」

一瞬で空気が変わった。

星羅「どうしたの?」

紅蓮「……いや」

紅蓮がニヤッと笑う。

紅蓮「こいつら、今から必死になるぞ」

瑛翔「紅蓮!」

豹牙「……絶対負けねぇ」

來夢「俺も」

星羅「???」

遥愛だけが、その様子を見て小さく笑った。

遥愛「……大変ですね」

星羅「何が?」

遥愛「みんな」

星羅「ふふっ。仲良しだね」

そして星羅はまた、何気なく遥愛の手を握り直した。