月影に咲く、一輪の華

しばらく屋上でみんなと話していると、私はふと気になったことを思い出した。

星羅「ねぇねぇ!」

來夢「ん?」

星羅「月影って、星夜が入ってる族なんだよね?」

星夜「……ああ」

星羅「じゃあ、みんなも暴走族なの?」

黒羽「そういうこと」

星羅「へぇ〜!」

思っていたよりずっと普通だった。

もっと怖い人たちばかりなのかと思っていたけど、話してみると意外と話しやすい。

……夜凪以外は。

私はちらっと夜凪を見る。

相変わらず一人で静かにしている。

でも、無理に話しかけるのも嫌がられそうだから、今はそっとしておこう。

星羅「ねぇ黒羽!」

黒羽「ん?」

星羅「月影って何人いるの?」

黒羽「今いる幹部とか合わせたら、それなりにいるぞ」

星羅「そんなに?」

黒羽「ああ」

星羅「すごいね!」

すると、豹牙が口を挟んだ。

豹牙「お前、族に興味あんの?」

星羅「うーん……」

少し考える。

星羅「今まで全然知らなかったから、ちょっと気になる!」

豹牙「じゃあ入るか?」

星羅「え?」

豹牙「月影」

星羅「私が?」

豹牙「ああ」

星羅「女の子一人なのに?」

豹牙「別に関係ねぇだろ」

星羅「……」

なんだか面白いことを言う人だ。

でも――。

星羅「私は星夜がいるから気になるだけで、族に入りたいわけじゃないかな!」

豹牙「……そっか」

少し残念そうな顔をしたように見えたけど、気のせいかな?

星羅「でも、みんなと仲良くなりたい!」

來夢「それなら大歓迎!」

星羅「ほんと!?」

來夢「もちろん!」

星羅「やった!」

嬉しくなって笑う。

すると黒羽が、少し面白そうな顔をしながら星夜を見る。

黒羽「星夜」

星夜「何」

黒羽「お前の姉ちゃん、月影に馴染むの早すぎねぇ?」

星夜「……昔からこうだから」

星羅「何が?」

星夜「……なんでもねぇ」

またそれ。

星羅「ねぇ星夜!」

星夜「ん?」

星羅「今日帰ったら一緒にご飯食べよ!」

星夜「……いつも食ってるだろ」

星羅「学校が別だった一年間の分を取り戻すの!」

星夜「一年分は無理だろ」

星羅「じゃあ今日から毎日!」

星夜「……はいはい」

星羅「約束だからね!」

星夜「ああ」

そんなやり取りをしていると、屋上の扉が開いた。

「おーい、誰かいるか?」

聞き慣れない声。

みんなが一斉にそちらを見る。

黒羽「……誰だ?」

扉の向こうから、数人の男子生徒が顔を覗かせた。

その瞬間、空気が少しだけ変わった。

さっきまで笑っていたみんなの表情が、ほんの少しだけ険しくなる。

星羅「……?」

私は何も知らずに、星夜の腕を握り直した。

一体、誰なんだろう?

今までとは少し違う空気に、私は首を傾げた。