月影に咲く、ただ1人の華

結局――。

誰か一人の部屋で寝るのではなく、みんなで星羅を真ん中にして、そのまま床にごろ寝することになった。

朝になって窓から差し込む光に、星羅がゆっくり目を開ける。

星羅「…………ん」

まだ眠い。

隣を見る。

星夜「…………」

ぐっすり眠っている。

反対側を見る。

刹那「…………」

その向こうには朧、瑛翔、紅蓮。

みんなまだ眠っていた。

星羅「…………」

起こすのも悪いし。

もう少し待とう。

そう思って、しばらくその場で静かにしていた。

けれど――。

星羅「…………まだ起きない」

思った以上にみんな寝るのが遅かったらしい。

星羅はそっと立ち上がった。

星羅「ちょっとだけ下、行ってみようかな」

誰も起こさないように、静かに部屋を出る。

階段を下り、一階へ。

そこには朝早くから動いている朱雀の下っ端たちがいた。

下っ端「……あ」

下っ端「星羅さん?」

星羅「おはよう」

下っ端「お、おはようございます!」

星羅「みんな早いね」

そんな会話をしながら、星羅は辺りを見渡す。

そして――ふと、一人の少年に目が止まった。

星羅「…………」

可愛い。ものすごく可愛い。

整った顔に少し大きめの瞳。まだ少年らしいあどけなさが残っている。

星羅の大好きな――可愛いもの。

星羅「…………かわいい」

下っ端「え?」

次の瞬間。星羅は考えるより先に走り出していた。

星羅「君!」

遥愛「えっ?」

ぎゅっ!!

遥愛「え、あっ……!?」

突然抱きつかれ、遥愛が完全に固まる。

周りの下っ端たちも――。

下っ端「…………」

下っ端「…………え?」

下っ端「何事?」

星羅はそんなことなど気にせず、遥愛をぎゅーっと抱きしめたまま、顔を覗き込む。

星羅「君、めっちゃ可愛い!」

遥愛「…………え」

星羅「ねえ、名前は?」

遥愛「は、遥愛です……」

星羅「遥愛くん?」

遥愛「は、はい……」

星羅「私は星羅!」

遥愛「星羅……さん?」

星羅「うん!」

にこっと笑う。

星羅「仲良くして!」

遥愛「…………」

あまりの勢いに、遥愛は完全に戸惑っている。

星羅「めっちゃ可愛い……ねぇ、はるちゃんって呼んでいい?」

遥愛「えっ、は、はい……」

星羅「やったぁ!」

星羅はさらに嬉しそうに抱きしめる。

星羅「はるちゃん可愛い〜!」

遥愛「…………」

顔が真っ赤になる。

周囲の下っ端たちは、ただただ唖然としていた。

下っ端「……遥愛、大丈夫か?」

遥愛「……分かんない」

星羅「ふふっ」

完全に虜になっている。