月影に咲く、一輪の華


そして――。

星羅「……っ、ふふっ……!」

耐えきれず爆笑する。

星羅「あはははっ! ごめん、ごめん!」

朧「…………」

珍しく呆然としている。

瑛翔「朧が……」

紅蓮「今の声、初めて聞いたぞ」

刹那「…………」

星夜「姉ちゃん、やりすぎ」

星羅「だって……ふふっ……朧があんな声出すなんて……!」

朧「……星羅」

星羅「ごめんってば」

朧「…………」

少しだけ頬を膨らませる。

星羅「……可愛い」

朧「…………」

また固まる。

紅蓮「お前ら、もう好きにしろよ」

瑛翔「本当にね」

星羅は笑いながらソファーへ戻った。

星羅「ごめんね、刹那。続き見よ」

刹那「……ああ」

再び映画に集中する。

けれど、刹那の腕は――。

また星羅の腕にくっついたままだった。

星羅「…………」

気づいているのか、いないのか。

星羅は何も言わない。

やがて、映画の暗い画面と静かな音が続く。

星羅の瞼が少しずつ重くなる。

星羅「…………ん」

隣にいる刹那の腕に身体を預ける。

刹那「……星羅?」

返事はない。

星羅「…………」

そのまま、こてん。

刹那の肩へ頭を預けてしまった。

刹那「…………」

息が止まる。

星夜「……寝た?」

刹那「……たぶん」

見ると、星羅は安心しきった顔で眠っている。

そして――。

さっきまで怖さから星羅の腕にくっついていた刹那は、今度は自分の肩に預けられた星羅を動かせなくなっていた。

刹那「…………」

紅蓮「……刹那」

刹那「何だ」

紅蓮「今度はお前が動けねぇじゃん」

刹那「…………うるさい」

瑛翔「顔、真っ赤だよ」

刹那「……黙れ」

朧も星羅を見つめながら、少しだけ笑った。

朧「……寝ちゃったね」

星夜「姉ちゃん、最近疲れてたからな」

星羅は何も知らず、穏やかな寝息を立てている。

その無防備な姿に――。

刹那はただ、静かに肩を貸し続けていた。