月影に咲く、一輪の華


少し離れた道路脇。

そこに一台の車が停まっていた。

誰も気づかない。

車内には――。

紅蓮がいた。

紅蓮「…………」

去っていく星羅たちを、黙って見つめている。

瑛翔「紅蓮?」

紅蓮「ん?」

瑛翔「帰らないの?」

紅蓮「……ああ」

もう一度、星羅を見る。

紅蓮「ちょっと気になっただけだ」

瑛翔「……ふーん?」

紅蓮「何だよ」

瑛翔「別に?」

瑛翔がニヤッと笑う。

紅蓮「……その顔やめろ」

瑛翔「はいはい」

車がゆっくり走り出す。

紅蓮は最後まで、星羅の姿を目で追っていた。

紅蓮「……星羅」

小さく呟く。

敵対するはずだった女。

なのに――。

もう、ただの敵とは思えなかった。