月影に咲く、一輪の華

男「…………」

二人の間に、張り詰めた空気が流れる。

星羅「……紅蓮」

紅蓮「大丈夫だ、星羅」

いつものような余裕のある笑み。

けれど――その目だけは、笑っていなかった。

紅蓮「お前は星夜のそばにいろ」

星羅「……でも」

紅蓮「いいから」

星夜「姉ちゃん、俺も……」

星羅「うん」

星羅は星夜に支えてもらって、少し後ろへ下がる。

その瞬間。

男「……星羅ちゃん」

星羅「……っ」

男「そんな奴らの後ろに隠れるんだ?」

星羅「隠れてるんじゃない」

男「じゃあ何?」

星羅「……信じてるの」

男「…………」

星羅「みんなが、私を守ってくれるって」

その言葉に、紅蓮の口元が僅かに上がった。

紅蓮「……聞いたか?」

男「…………」

紅蓮「これが答えだ」

拳を握る。

紅蓮「星羅は、お前なんか選ばねぇ」

男「……黙れ」

紅蓮「嫌だね」

男がナイフを構える。

紅蓮も拳を構えた。

次の瞬間――二人が同時に飛び出した。

男「――っ!」

紅蓮「おらぁ!!」

ドゴォッ!!

拳と拳がぶつかる。

男がよろめく。

すぐに紅蓮へナイフを振る。

紅蓮「……!」

身体を捻ってかわす。

刃が頬を掠める。

瑛翔「紅蓮!」

紅蓮「来るな!」

瑛翔「……!」

紅蓮「こいつは俺がやる」

男「一人で勝てると思ってるの?」

紅蓮「さぁな」

紅蓮が笑う。

紅蓮「でも――」

拳を構える。

紅蓮「お前を倒す理由なら、十分すぎるほどある。」

男「…………!」

再び激しくぶつかり合う。

ドゴッ!!

バキッ!!

紅蓮の拳が男の頬を捉える。

男も負けじと殴り返す。

紅蓮「……っ!」

一瞬よろめく。

男「どうした?」

紅蓮「……効いてるよ」

口元の血を拭う。

紅蓮「だから何だ?」

そのまま踏み込む。