月影に咲く、一輪の華

星羅「…………」

男と目が合った瞬間、指先が震えた。

星夜「姉ちゃん?」

星羅「……大丈夫」

そう言ったものの、声は明らかに震えている。

男「怖い?」

星羅「…………」

男「昔みたいに、また鎖に繋がれてたもんね」

星羅「……っ」

星夜「やめろ」

男「星夜くん」

星夜「姉ちゃんに話しかけるな」

男「君は相変わらず、星羅ちゃんに守られてばかりだね」

星夜「…………!」

星羅「星夜……」

星夜の拳が震える。

けれど、今度は俯かなかった。

星夜「……もう違う」

男「何が?」

星夜「俺はもう、姉ちゃんに守られてるだけじゃねぇ」

立ち上がる。

まだ足元は少しふらついている。

それでも星羅の前に立った。

星夜「俺も姉ちゃんを守る」

男「…………」

星夜「だから、二度と姉ちゃんに触るな」

男が薄く笑う。

男「……強くなったね」

星夜「お前に言われたくねぇよ」

その時、紅蓮が星夜の隣へ並んだ。

紅蓮「一人で背負う必要ねぇぞ」

星夜「……紅蓮」

紅蓮「こいつを守るのは、お前一人じゃない」

豹牙「そういうこと」

豹牙も拳を握る。

豹牙「俺らもいる」

來夢「月影全員な」

朔夜「……朱雀もいる」

瑛翔「もちろん」

刹那「……逃がさない」

朧「…………」

朧も静かに前へ出る。

星羅はその光景を見つめていた。

自分のために敵だったはずの朱雀まで、ここにいる。

星羅「……みんな……」

黒羽「星羅」

星羅「……ん?」

黒羽「もう何も考えなくていい」

星羅「…………」

黒羽「今は俺たちがいる」

その言葉に、星羅の瞳が潤んだ。

星羅「……うん」