月影に咲く、一輪の華

そして最後に、私は夜凪を見る。

さっきからずっと静かに座っている。

星羅「夜凪は?」

夜凪「……夜凪」

星羅「何年生?」

夜凪「三年」

星羅「それだけ?」

夜凪「……何が」

星羅「もっと何かあるのかなって」

夜凪「ない」

星羅「そっか!」

あっさり答えられてしまった。

でも、別に嫌な感じはしない。

ただ、本当に女の子と話したくないんだろうな。

星羅「じゃあ、夜凪もよろしくね!」

夜凪「…………」

返事はなかった。

私は少しだけ首を傾げたけど、すぐに笑った。

星羅「よし!みんな覚えた!」

黒羽「本当に覚えたのか?」

星羅「もちろん!」

私は指を折りながら確認する。

星羅「黒羽、朔夜、豹牙、夜凪!」

黒羽「おお」

星羅「それから來夢!」

來夢「俺も忘れないでね!」

星羅「忘れるわけないじゃん!」

來夢「よかった!」

星羅「あと――」

私は隣にいる弟を見る。

星羅「私の可愛い星夜!」

星夜「……俺は最後に付け足すな」

星羅「だって星夜は特別だもん♡」

星夜「……はいはい」

また呆れたような顔をする星夜。

そのやり取りを見ていた黒羽が、ふっと笑った。

黒羽「なるほどな」

星羅「?」

黒羽「星夜がお前に甘い理由が分かった気がするわ」

星羅「えへへ。でしょ?」

星夜「……俺は甘くねぇ」

來夢「いや、十分甘いだろ」

叶多「俺もそう思う」

星夜「…………」

みんなに言われて、星夜が少しだけ眉を寄せる。

その顔がおかしくて、私はまた笑った。