月影に咲く、一輪の華

黒羽「――今度は俺たちが、お前を助ける」

その言葉に、星羅の動きが止まった。

けれど――。

星夜「……姉ちゃん……」

床に崩れた星夜の声を聞いた瞬間、星羅はまた鎖を掴む。

星羅「……星夜」

ガシャンッ!!

星羅「待ってて……」

ガシャンッ!!

星羅「今、行くから……!」

手首から流れる血が鎖を伝って落ちていく。

夜凪「星羅、やめろ」

星羅「……嫌!」

夜凪「手首が――」

星羅「そんなのどうでもいい!」

叫んだ瞬間、夜凪の目が見開かれた。

星羅「星夜が苦しんでるのに……私だけ痛いとか、そんなのどうでもいい!」

夜凪「…………」

豹牙「……星羅」

豹牙の胸が締めつけられる。

こんな状態になってまで、星羅は自分のことを考えない。

ただ星夜だけを見ている。

紅蓮「……おい」

男「ん?」

紅蓮「その鎖、外せ」

男「嫌だね」

紅蓮「……そうか」

紅蓮の口元から笑みが消える。

紅蓮「なら、ぶっ壊す」

ドンッ!!

紅蓮が目の前の男を殴り飛ばした。

その瞬間、戦いが再び始まった。

瑛翔「行くぞ!!」

刹那「――ああ」

朱雀が一斉に敵へ飛び込む。

豹牙「月影も行くぞ!」

來夢「おう!」

朔夜「星羅のところまで道を開ける!」

黒羽「絶対に近づかせるな!」

男たちが次々と襲いかかる。

ドガッ!

バキッ!

ガンッ!

拳がぶつかり、床に身体が叩きつけられる。

その隙に夜凪が星羅へ近づこうとする。

だが――。

男「行かせるか!」

夜凪「……邪魔だ」

拳を避け、男の懐へ潜り込む。

ドッ!!

一撃。

男がよろめく。

夜凪「……星羅から離れろ」

その声は、今まで聞いたことがないほど冷たかった。

一方、星羅は必死に鎖を引き続けている。

星羅「……っ!」

ガシャンッ!!

星羅「外れて……!」

ガシャンッ!!

星夜「……姉ちゃん……」

星羅「星夜……!」

その声を聞いて、星羅は涙を流しながら笑った。

星羅「大丈夫だから……」

星夜「…………」

星羅「私がいるから……」

星夜「……違う」

星羅「え……?」

星夜は震える身体を起こそうとする。

星夜「今度は……俺が……」

星羅「星夜?」

星夜「俺が姉ちゃんを助ける……」

ふらつきながら立ち上がる。

その姿を見た星羅が、目を見開いた。

星羅「……無理しないで!」

星夜「無理でも……行く」

一歩。また一歩。

星夜は星羅へ向かって歩き出す。

その目にはまだ涙が残っている。

けれど――さっきまでの絶望だけじゃない。

姉を取り戻すという強い意志が宿っていた。

星夜「……今度は」

拳を握る。

星夜「俺が姉ちゃんを連れて帰る」

その言葉に、星羅の瞳からまた涙が溢れた。