月影に咲く、一輪の華


初めて、星夜がはっきり口にした。

星夜「正直、またあいつが来ると思うと怖ぇよ」

星羅の目に涙が浮かぶ。

星夜「でも、だからって姉ちゃん一人で行かせる方がもっと怖い」

星羅「…………」

星夜「もう俺に『助けて』って言わせないでくれ」

その言葉に、星羅の表情が崩れた。

星羅「……星夜」

ぎゅっと、星夜を抱きしめる。

星羅「ごめん……」

星夜「……謝んな」

星羅「ごめん……」

星夜「姉ちゃん」

星羅「……うん」

星夜「今度は二人で帰ろう」

星羅「…………うん」

その二人を見ていた黒羽が、静かに立ち上がる。

黒羽「決まりだな」

豹牙「……ああ」

來夢「じゃあ、犯人探しだ」

朔夜「手紙を置いた方法も調べる」

夜凪「……俺は周辺を見る」

星羅「みんな……」

黒羽「もう一人で決めるな」

星羅はみんなを見渡す。

怖い。

まだ怖い。

それでも――。

昨日までとは違う。

今は、背中を預けられる人たちがいる。

星羅「……うん」

小さく頷く。

その時。

テーブルの上に置いていたスマートフォンが――。

ブブッ。

震えた。

星羅「……?」

画面を見る。

知らない番号から、一通のメッセージ。

『その顔も、昔と変わらないね』

星羅「…………」

指先が凍りつく。

そして次の瞬間。

もう一通。

『今度は、ちゃんと迎えに行くよ。星羅ちゃん』

星羅「……っ」

――犯人は。

もう、すぐそこまで来ている。