月影に咲く、一輪の華


豹牙「ははっ!」

來夢「珍しいもん見たな」

朔夜「まさか星夜が、あんなふうに甘えるとはな」

星夜「……忘れろ」

夜凪「無理だろ」

星夜「夜凪、お前まで……!」

夜凪「だって事実だろ」

星夜「…………」

拳を握る。

でも怒鳴ることもできない。

何しろ――。

全部、本当だから。

星羅「でもね、星夜」

星夜「……何だよ」

星羅「星夜、甘える時は私のこと『星羅』って呼ぶんだよ」

星夜「…………!」

星羅「昔からそうなの」

星夜「姉ちゃん、それ今言うな!」

來夢「へぇ……」

豹牙「なるほどな」

朔夜「貴重な情報だ」

夜凪「……覚えとく」

星夜「お前ら覚えなくていい!!」

倉庫に笑い声が響く。

星夜は耳まで真っ赤にして、顔を背ける。

星羅「ふふっ」

星夜「……姉ちゃん」

星羅「ん?」

星夜「……絶対、他の奴らには言うなよ」

星羅「分かった」

そう言って、私は笑いながら星夜の頭を撫でる。

星夜「…………」

結局、嫌がることもできない。

その光景を見ながら、月影の男たちはそれぞれ思っていた。

――やっぱり。

星夜が羨ましい。

でも同時にあんな顔をする星夜を知っているからこそ、少しだけ分かった。

星羅にとって星夜は――。

ただの弟じゃない。

何よりも大切で、絶対に失いたくない存在なのだ。