月影に咲く、一輪の華

朔夜も黙って星羅を見ていた。

星羅「……ん?」

視線に気づいたのか、星羅が顔を上げる。

星羅「みんな、どうしたの?」

來夢「いや」

星羅「?」

來夢「星羅ちゃんって、ほんと星夜のこと好きだよな」

星羅「うん!」

即答だった。

星羅「だって大事な弟だもん」

星夜「……ん……」

寝言のように小さく声を漏らす。

星羅「ふふっ」

私は嬉しそうに笑って、星夜の頭を撫でる。

星羅「寝てていいよ」

星夜は返事もせず、また私に身体を預ける。

その光景を見ていた豹牙は、ふっと息を吐いた。

豹牙「……勝てねぇな」

來夢「何に?」

豹牙「……星夜に」

來夢「ははっ」

豹牙は苦笑する。

星羅が星夜を大切にしていることは、嫌というほど分かっている。

だからこそ――。

今は、この二人の時間を邪魔したくなかった。

豹牙「……まあ、あいつがあんな顔できんなら、それでいいか」

星羅「豹牙?」

豹牙「何でもねぇって」

そう言って、いつものように笑う。

けれど胸の奥では。

いつか自分も、星羅の特別になれたら。

そんな願いが、静かに芽生えていた。