月影に咲く、一輪の華

しばらくして。

倉庫の中が少し静かになった頃、ふと隣を見る。

星羅「……あれ?」

いつの間にか、星夜がソファに身体を預けて眠っていた。

さっきまで私の隣で起きていたはずなのに。

星羅「ふふっ……寝ちゃったんだ」

静かに近づいて、ソファの前にしゃがむ。

星夜「…………」

無防備な寝顔。

いつもは生意気なことばかり言うくせに、寝ている時だけは昔と変わらない。

星羅「……かわいい」

思わず頬が緩む。

星羅「きゃあ、可愛い……」

小さな声で呟いて、星夜の頬を指先でつん、と触る。

それでも起きない。

星羅「ふふっ」

そして――。

ちゅっ。

頬に、そっとキスを落とした。

星羅「おやすみ、星夜」

その瞬間。

倉庫の空気が止まった。

豹牙「…………」

來夢「…………」

朔夜「…………」

夜凪「…………」

黒羽「…………」

全員が、無言で眠っている星夜を見る。

そして。

豹牙「……星夜」

來夢「……ああ」

朔夜「…………羨ましいな」

豹牙「……それな」

夜凪「…………」

黒羽「……お前ら」

來夢「だってよ」

來夢が星羅を見る。

無邪気に星夜の寝顔を眺めている。

來夢「俺らには絶対あんなことしねぇだろ」

豹牙「……そりゃそうだろ」

朔夜「分かっている」

夜凪「…………」

黒羽「……お前も思ったか?」

夜凪「…………」

しばらく黙ったあと。

夜凪「……少しだけ」

豹牙「お前もかよ!」

思わず全員が夜凪を見る。

夜凪「……何だよ」

來夢「いや、お前が認めるとは思わなかった」

夜凪「……俺だって普通の男だからな」

その言葉に、今度は黒羽まで苦笑した。

黒羽「……星夜の特権だな」

星羅「ん?」

振り返った私には、みんなの会話の意味が分からない。

星羅「どうしたの?」

豹牙「……何でもねぇ」

來夢「何でもない」

朔夜「……ああ」

夜凪「…………」

みんなが揃って目を逸らす。

星羅「……?」

私は不思議そうに首を傾げた。

そしてもう一度、眠っている星夜を見る。

星羅「やっぱり可愛い」

その一言に――。

男たちは心の中で、同じことを思った。

……星夜が羨ましい。