月影に咲く、一輪の華


琉生「じゃあ、僕はそろそろ戻りますね」

星羅「うん!また明日ね、琉生!」

琉生「はい、星羅さん」

琉生が倉庫を出ていく。

扉が閉まると、少しだけ静かになった。

星羅「……ふぁ」

大きくあくびをする。

豹牙「眠ぃのか?」

星羅「うん……今日は色々あったから」

豹牙「……無理すんなよ」

星羅「大丈夫」

そう言って笑う。

豹牙は、その笑顔を見た瞬間に目を逸らした。

もう分かっている。

自分は、星羅に惚れた。

近くにいるだけで嬉しい。

笑っていると、もっと見ていたくなる。

誰かが星羅に近づけば、妙に気に入らない。

さっき紅蓮が「気に入った」と言った時だって、腹が立った。

――完全に、好きだ。

豹牙「…………」

星羅「豹牙?」

豹牙「ん?」

星羅「また顔赤いよ?」

豹牙「……うるせぇ」

星羅「ふふっ」

星羅が笑う。

豹牙「……だから笑うなって」

星羅「なんで?」

豹牙「……調子狂うんだよ」

星羅「?」

意味が分からないらしく、星羅は首を傾げる。

その無邪気な顔に、また胸が鳴る。

豹牙「…………ったく」

小さく呟く。

豹牙「……好きになった俺が悪ぃな」

星羅「え?」

豹牙「何でもねぇ」

星羅「またそれ!」

頬を膨らませる星羅を見て、豹牙は思わず笑った。

もう、隠す気すらなくなってきていた。

その様子を、少し離れた場所から見ていた來夢が呆れたように呟く。

來夢「……豹牙、もう隠す気ねぇじゃん」

豹牙「…………」

黒羽「本人が一番分かってるだろ」

豹牙「……うるせぇ」

夜凪「……分かりやすい」

豹牙「お前まで言うな!」

星羅「え、何が分かりやすいの?」

三人「…………」

星羅だけが、何も分かっていなかった。