月影に咲く、一輪の華


その瞬間、屋上の扉が開いた。

黒羽「……星羅」

星羅「黒羽!」

黒羽「大丈夫か?」

星羅「うん。もう平気!」

黒羽は私の顔をじっと見る。

黒羽「……本当に?」

星羅「本当!」

黒羽「ならいい」

その後ろから來夢たちも顔を覗かせる。

來夢「星羅ちゃん、もう大丈夫?」

星羅「うん!」

豹牙「……夜凪から聞いた」

星羅「そっか」

豹牙「無理してねぇか?」

星羅「大丈夫だよ」

笑って答える。

すると黒羽が、少しだけ真剣な顔をした。

黒羽「……無理して笑ってるなら、やめろよ」

星羅「…………」

一瞬、言葉に詰まった。

でも――。

今度は無理に笑わなかった。

星羅「……うん」

黒羽「それでいい」

そして黒羽は、旧校舎の方へ視線を向ける。

黒羽「朱雀のこともある」

空気が変わる。

黒羽「今日の件は、ここで終わりじゃねぇ」

星羅「……」

黒羽「むしろ、始まったばっかだ」

その言葉を聞いた瞬間。

私は星夜の手を、もう一度強く握った。

――何が起きても。

今度は、絶対に離さない。