月影に咲く、一輪の華

――今日から、星夜と同じ学校に通える。

その事実だけで、朝からずっと浮かれていた。

だって、ずっと一緒だった星夜と高校まで離れるなんて、私には耐えられないもん。

 もちろん双子なんだから家では毎日会えるけど、それでも嫌だった。

朝起きて、星夜がいて。
一緒にご飯を食べて、くだらないことで喧嘩して、学校から帰ってきたらまた顔を合わせる。

そんな毎日が、私は大好きだった。

星羅「星夜、待って!」

少し先を歩いていた背中に駆け寄って、その腕にぎゅっと抱きつく。

星夜「……暑い。離れろ」

星羅「やだ」

星夜「朝から何なんだよ」

星羅「だって今日から一緒の学校だよ?」

星夜「昨日から知ってるだろ」

星羅「知ってるけど、嬉しいの!」

星夜「……そうですか」

鬱陶しそうな声。

だけど、私が腕を離そうとしないことを本気で振りほどこうとはしない。

――やっぱり星夜は優しい。

星羅「ねえ星夜」

星夜「何」

星羅「今日のお昼、一緒に食べようね」

星夜「……別にいいけど」

星羅「やった!」

星夜「ただし、俺の友達もいるからな」

星羅「えー。じゃあ私も一緒に行く!」

星夜「お前、友達作れよ」

星羅「星夜がいればいい」

星夜「……重い」

星羅「ひどい!」

笑いながら星夜の腕をさらに抱きしめる。

大好き。

本当に、大好き。

私にとって星夜は、弟なんて言葉だけじゃ足りないくらい大切な存在だった。

だから――。

今日から星夜と同じ場所で過ごせることが、私はたまらなく嬉しかった。

……まあ、このときの私はまだ知らなかった。

男子しかいないこの学校で、私がどれだけ目立つことになるのか。

そして、この一日をきっかけに、私の周りにとんでもない数の男の子たちが集まってくることになるなんて。